猫
今週のお題「夏うた」 我が家では腰高の窓にすだれを掛けてある。 北向きの窓であるので、陽ざしよけというよりは野性味にかける家猫が格子から身を乗り出して下を覗いた拍子に落ちないための工夫という意味合いの方が強い。 そんなすだれ越しの風景でも猫は…
いつも通り寝る前に本を読んでいた。 扇風機の音だけがパタパタ聞こえる中、漱石か何か気楽に読んでいたのだ。 開け放った窓の外に、ちょっとだけ熱の冷めた北国の夏の夜らしい気配が確実にある、静かな良い夜だ。 突然、本の向こう、部屋の真ん中に黒猫の像…
偶然、地図に載っていない小さな神社を見つけたので、ついのことでちょっと参拝してきた。 ひっそりと短い参道もかわいらしい、小さいなりに大切にされてきた感じのある場所だ。 お堂の脇の木陰には、これまた小ぶりな馬頭観音の碑がある。 北海道の神社は開…
「ねえ、まあちゃん」 と、名前を呼んでも我が家の黒猫は知らん顔をする。 「ちょっとお」 と、こちらから出向いていって背中をちょいちょいとつつくとやっと、くにゃっと半身をひねって振り向く。 「無視しないでよ」 人間としてはいささか威厳のない苦情を…
一週間ほど前に我が家の猫を看取ったときに読んでいたのがますむらひろしの『銀河鉄道の夜』だった。 それは、本当に銀河鉄道に乗ったような不思議な夜だった。 銀河鉄道の夜 (ますむら・ひろし賢治シリーズ) (扶桑社コミックス) 作者:ますむら ひろし 発売…
顔を見るたびに猫がニャアと鳴く。 猫のことなれば、ニャアと鳴くこと自体に文句があるじゃないが、要するに彼女の主張しているのは「退屈であるから遊べ」ということであり、 気持ちは重々承知だが、こちらとしてもまさか一日中付き合うわけにもいかないの…
黒猫がクローゼットから出てこない。 もともとフリーダムな性格で、こだわりなく行きたいところに行っては芝刈り機みたいにゴロゴロとリラックスをアピールする恐れを知らぬ存在として暮らしていたものを、 ある瞬間に家に病と死の気配が持ち込まれときから…
私の立てた作戦は、ロードマップの把握と早めの根回しである。 落ちる方も送る方も、忙しいのだ。 鬼灯の冷徹(1) (モーニングコミックス) 作者:江口夏実 発売日: 2012/09/28 メディア: Kindle版 人間は死後四十九日で行く先が決定するが「猫ちゃんはもう…
手の平に容易に乗るサイズで我が家にやってきた生後二か月の子猫を、 「やれ食が細った、やれちょっと太り気味、やれ鰹節が好物だが腎臓に悪かないか」 などとあれこれと神経をとがらせて600グラムの毛玉から五年と十か月かけて五キロまで大きくしたのだ。 …
ミグノンという犬猫保護のための活動を行っている団体の代表である友森玲子さんという人が、「動物を介護するのは人生のご褒美みたいな時間である」という話をしているのを以前どこかで読んだことがある。 それ以上には説明がなく、それっきりの言葉だったの…
家の 猫が入院して、どうにも固い文章の小説が頭に入ってこなくなってしまったので猫の登場する本ばかり漁っては読んでいる。 猫怪々 (集英社文庫) 作者:加門 七海 発売日: 2014/11/20 メディア: 文庫 猫好きの怪談作家が弱った子猫を拾うエッセイ集だ。 拾…
老作家の家に居ついた若い野良猫がある日庭のトクサの繁みを抜けてそのまま居なくなってしまったのを、身も世もあらぬと言ったていでひたすら悲しみ続ける随筆である。 猫を飼う前からよく読んでいて、自分が猫など飼い始めたら悲しくて読めなくなるのではな…
我が家にいるチビの黒猫からしてみると事情はこうだ。 最近、兄猫の食べる量が減って来たので遠慮なくモリモリと二人分のご飯を食べ暮らしていたところ、ある日突然兄ちゃんの様子がおかしくなる。 人間が大きな猫リュックを持ち出してきて兄ちゃんを入れる…
我が家の虎猫は、生後一か月でもらってきたときは背中が真っ黒で腹のあたりに少しグレーの斑点のある子猫だった。 だいたい黒猫なのだな、と思いながら育てていたら、背中が延びるにしたがってグレーの筋が入ってきて、いつの間にかわりとちゃんと黒とグレー…
『猫なんかよんでもこない。』なんかを読んだからこうなった、ということでは全くないのだが、色々不思議な気持ちにはなる。 rokusuke7korobi.hatenablog.com ここ一週間ほど我が家の虎猫の、餌を食べる量が減ってきたのだ。 時々食の細る子で、「最近あんま…
毎日25分ずつ瞑想をしている。 家で仕事をする時間が長くなって、できるだけ集中しやすい状況を作るためにはじめたことではあるが、慣れるにしたがってすっかり快適になり、今となっては瞑想なしでどうやって家で集中できるのかが分からない、という気分にす…
近頃、少しずつ暑くなってきたせいか、夏至が近くて朝が早いせいか、やや寝つきが悪くなっていた。 わりと快調だったこともあり、睡眠時間も多少減らしていた。 六月の湿度の高い暗い雨の夜。 布団の中で眠れないことに気付いたが、本を読もうというモードで…
昼間の気温もだいぶ上がってきて 家のいたるところでしまりのない猫が転がっている。 あまり行く先々にいるので 「いったい何匹いるんだっ!」 といきなり疑心暗鬼になったりするが、冷静に数えるとちゃんと二匹なのだ。 そしてこの季節からやたらどこにでも…
。我が家には猫が二匹いる。 兄と妹でそれぞれ性格が違う。 比較的おっとりしてるはずの兄の虎猫は、私が洗濯物を干しはじめると必ず大きな声で呼びにくる。 「遊べ」 ということだ。 仕方ないので、つまみあげた濡れた洗濯ものを一旦その場に置いてウワーッ…
今日も 猫が腹を天に向けてエントロピー増大している ああ、ゆるキャラのようだ
近頃、猫を拾う遊びがはやっている。 そもそも我が家には、猫が二匹いる。 ちょっとばかり屈折した性格のおじさん虎猫と、思いついたことを秒で全部やりながら家中をかけぬけるギャルの黒猫である。 おじさん虎猫は時として、やや悲しそうな目で少し離れたと…
うちには自慢のキャットタワーがあります。 思い起こせば二年前の春、当時まだほんの子猫だったやんちゃな黒猫がおもちゃの紐を誤飲して腸閉塞を起こして死にかけ、緊急入院したことがあったのです。 日頃つやつやと自慢げに光る黒い毛が急激な脱水症状のせ…
Amazon photoで写真を整理しているので 「何年前の今日こんな写真を撮ってましたよ」 というようなことをしばしば勝手に知らせてくるのです。 目を留めたのは、我が家の虎猫があまりにも見事に背筋をのばして直立してる写真だったからで、その珍妙な姿がさす…
どこかで見た感染症予防のための「帰宅後にやることリスト」の中に、 「手を洗う」とか、「着ていたものは洗濯する」とかの他に、「犬を洗う」というのがしれっと入っていて、犬も受難だなあと思う一方で、ちょっと愉快な心持がした。 なんか詩のような響き…
お題「#おうち時間」 昨今の緊急事態宣言下で 「外出自粛でストレスが溜まってる人はこんな対処法をっ」 と言ったような情報をあちこちで目にするようになりました。 いい情報だとは思うのですが、それはそれでたくさん目に入るようになると 「あれ、全然ス…
今週のお題「わたしの部屋」 コロナも怖いがリヴァイアサンも怖い、という旨の論考が日々更新される昨今の世界状況の中、一方では部屋にいて読書などしてるぶんには後ろめたいほど平和な日常でもある。 しかし、そんな一見穏やかな我が家でも実は転居してき…
パソコンでメールを読んでいたらいきなり傍らに置いてあるアレクサが起動して青くピカピカ光り出した。 呼んでもいないのにいきなり反応されると、正直けっこう怖い。 すわAI暴走か、と光るアレクサを見つめていたら、ひとつ心当たり。 たった今、いまいち意…
なんとなくバタバタしてる間に三月がしれっとやって来て、もうひな祭りなのだという。 我が家にも年若い女の子が一人いるが、彼女は猫なのでちらし寿司もはまぐりのお吸い物も特に欲しがらない。 子どものころは、「ひなまつりにはまぐりのお吸い物」という…
自分で飼ってみるまで、黒猫というのは神秘的な存在なのだと思っていた。 魔女の手先と言われたり、不吉の印と言われたり、福猫と言われたり。 頭脳明晰に見えるからこそ良いにつけ悪いにつけ、黒いという特徴においていろんな目に合ってきた歴史があるのに…
今週のお題「ねこ」 ずっと前から知っているが、猫と暮らし始める前後でぜんぜん見方の変わる映画ってものがある。 ひまわり ブルーレイ [Blu-ray] 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2013/07/26 メディア: Blu-ray ずいぶん古いイタリア映画である。 撮影…