晴天の霹靂

びっくりしました

エッセイ

たとえば、猫の耳

猫の耳をのぞきこむと、ちょっと不安になる。 彼らの耳の奥は、なにかしら人間の理屈では把握できない謎の形をしている。 「これって、つまりどうなってるんだろうか?」 と思ってじっと見ていると、ちょっと怖いような不安な気持ちになってくるので急に気ま…

秋の猫を撫でる

スマホに「天気痛予報アプリ」を入れているので 気圧が乱れる直前になると「天気痛に注意です」という通知が来たりする。 なんとなくやる気がでないタイミングと天気痛警報のタイミングが一致すると 「はいはい、私のせいじゃないもんねーっ」 という開き直…

モデルナアーム1号出動!

一回目ワクチン接種に行ってきた。 たまたまコネで大学の接種会場で受けさせてもらった都合で、周囲に若者が多い。 受付で予診票を出すと 「学生証ありますか」 などと聞かれる始末。 あらやだっ。まー、なんということでしょう! などとモッキモッキしなが…

いたずら好きの猫の鼻先を舐める仕返し

腰高窓の横にあるデスクに向かって仕事をしていると、近頃涼しくなってすっかり調子のいい猫が突然、 「んにゃっ」 と言いながら窓越しに私のすぐ脇に飛び込んでくる。 隣の部屋の掃き出し窓から出てベランダでひとり遊んでいたものを、私を驚かすためにわざ…

朝顔の蔓に追いかけられる

なんとなくいつもより疲れやすいような気がして 「なんだ、何事だ、何の体調不良だ?」 と思ってそわそわしたが、落ち着いて考えたら残暑のせいだ。 今年は夏の滑り出しが異様に暑かったせいで気温に対する警戒心がちょっと平年とずれているが、30度超える…

今の君はびだびだに光って

秋というのは、とりわけ子どもの声がよく通る季節であるような気がする。 道の向こうを歩いていた少年が、藪から棒に大声で歌い出したのが風に乗ってまっすぐこちらに届いてくる。 「ビーダービーダー光るーお空のー星よー」 ビダビダ光る星を、直ちに私は連…

塩レモンゼリーとアイスノンの日

かくして世界は意識が遠のくほど暑いわけである。 パソコンに向かっていたのが、突然ガバっと立ち上がって、自分でもなんだかわからずに家中をぐるっと一周してから、またもとのところに戻ってきて座ったりなんかする。 「あれ、なにしにあっち行ったんだっ…

夏に育ちゆく生命体

すくすくと育って楽しかったプランターの豆苗栽培も、二回目を再収穫したあたりから 「……なんかすごい草食べてる?」 という味に変わってきた。 青臭くてちょっと苦い。 それほど積極的に食べたくなる味でもないので、じゃあもうあとは猫に好きなだけ食べさ…

きっと君は世の中の怖さをしらなくて親をハラハラさせているのだ

大きなミズナラの木陰でカラスが鳴いている。 なんとなくむくっとしたまるっこいシルエットで、大きな口を開けて鳴くと鮮やかな腔内の赤が目立って見える。 「なんだか妙にひょうきんなカラスがいるな」 と思って目をやったら、そばにいたもう一匹のカラスが…

米津幻師『死神』~「えっ、俺?」のところ最高

米津玄師『死神』をずっと聞いております。 何回見ても最後で変な声が出る。 www.youtube.com 米津玄師って人を「なるほどあの声はこの人か」としっかり認識したのって2018年の紅白歌合戦の『lemon』の時でした。 徳島の美術館にあるミケランジェロの『最後…

7月初旬のあれこれ。

豊作豆苗プランター。 猫と私とで交互に食べているが、水さえやっておけば見る間にぐんぐん伸びてくるので大変楽しい。 ちょっとずつ増やしながら何回目くらいまで収穫できるものか実験中。 生産性とか追求してない謎のプランター。 やたらとにょきにょき伸…

ヘップバーンである夜もある

真夜中、ずっとパソコンをつけていた部屋は熱がこもって暑いので、虫が入らないように室内の電気は消し、窓を開け放って寝る前の換気をする。 ベランダのすぐ下は小さな小さな公園があり、誰もいない滑り台の脇にオレンジ色の街灯がひとつ静かについてほの明…

アカシアの雨には打たれ、カラスに追われ

公園や道路沿いのあちこち植えられているニセアカシアが花の季節で、マスクをつけたまま下を通ってもずいぶんと甘い匂いがする。 ここまで匂いの強い花だったのか、とマスクのおかげで今年改めて知ったのだが、それもいつの間にか散り始めて道路が花びらで覆…

銀の靴、少年のプリン

なんだかいきなり気温があがった。 一冬使ったラグやらこたつ布団やら半纏やらを全部まとめて洗い、狭いベランダにヘンポンと翻す一方、トランクルームから久しぶりの扇風機を運びだしてホコリを払うのは、楽しい作業である。 しかし、まだ身体が慣れていな…

フルートの散歩道

近所の公園を歩いたら、急激に新緑に力がこもってきているので驚いた。 じっと力を溜めていた生命にとっての数日ってこれほど爆発的なものか、と目を見張る。 緑が風に揺れると隙間からいっせいに降り注いでくる快晴の青も素晴らしい。 下生えが低いために見…

夏をむかえる窓拭きと丸粒麦茶

初夏の素晴らしい日差しを存分に室内に入れるべく窓を拭いていたら、ガラス越しに室内の猫が眼をまるくしてこちらを見ている。 そんな珍しいものを見るような視線で窓掃除を見るんじゃない。 まるで私がめったに窓を掃除しない人みたいではないか。 大きく右…

深夜二時、レモンゼリーと骨壷袋

深夜2時にかんてんぱぱで作ったレモンゼリーを食べていた。 まず、なぜ深夜2時にかんてんぱぱで作ったレモンゼリーを食べていたのかという話をしようと思う。 お腹が空いたのだ。 お腹が空いたが、大人としてはこんな夜更けになにか食べるというのはいかが…

ベランダをめぐる冒険 ~地球に乗って自転する猫やら飼い主

窓をカラカラと開け放しておく陽気になった。 猫のためにこたつをつけておく陽気と、その電源を切って窓を開け放つまでの間の期間は、一日しかないのだ。 こんなにも季節はめまぐるしかったか。 外から流れこんでくる異質な匂いのする空気に向かって、猫は身…

「そういうお前は誰なんだ」~キム・ジヨン、ティリオン・ラニスター、サルトル

くさくさするので近所の神社へ行った。 おみくじを引く。 おみくじって、せっかく引いても「大吉」とか書いてあるところしか読んでいない人が多いようであるけれど、一番おもしろいのはその上に書いてある、どうとでも意味の取れる和歌だと思う。 なんだかモ…

愛と羞恥心の間で可愛い珈琲

近所に、散歩の途中で見つけた奇跡の珈琲豆屋さんがある。 我が家の周辺はいい珈琲豆屋さんがやたらにたくさんあって、どの店に行くのも楽しいのだけど、中でも一軒だけ、値段がちょっとおかしいところがある。 クオリティに比べて、値段が安すぎるのだ。 個…

いいえ、わたしはただの疲れ目です

気付いたのは、ほんとにここ最近それこそ数ヶ月のことだったんです。 夜、コンタクトレンズを外して(子供のころからのド近眼)、お布団に入ってKindleを開いて、読みますよ。 夜寝る前の時間帯は照明落とした部屋で猫がなんだかんだ騒いだりしますので、様…

4月のムラサキッカス

今日から4月になったことを正確に知っているのかしら、と思うくらいの勢いで、いきなり一斉に道端のクロッカスが咲いた。 昨日まで何もなかったはずのところがあまり見事にクロッカス畑になっているので 「ああ、クロッカス」 と思わず声に出すと 「なになに…

散歩道にダチョウがいる

どうせ私の言うことなんか誰も信じないだろうと思うから安心して言うんだけど、散歩道にダチョウがいる。本当のことだ。 ここらは火山灰の積もった大地で、歩く人の都合なんかおかまいなしに好き勝手に隆起してるし、変なところでぐねぐね曲がっている丘陵地…

2万円ほどフィッシング詐欺られたお話~プライム会費のお支払い方法に問題があります。

ネットで買い物するようになってもう随分長いですし、キャッシュレス決済にもすっかり慣れている今日このごろですよ。 フィッシング詐欺のメールなんてしょっちゅう見ます。 「こんな珍しくもなんともないものに、今どき引っかかる人いるんだろうか」 と思い…

よく喋るイチイの木

やっと雪が溶けてきて、表通り以外の路地も歩きやすくなってきたので、小さい道を遠道する。このあたりの土の湿り気からすると、きっとまもなく土筆が顔を出すのであろう。 あっちの赤茶の芽は、福寿草が咲くのだろうか。 まだありもしない春の気配を適当に…

宝島珈琲店の午後

散歩の途中、かねがね気になっていた長い煙突がある。 いかにストーブの欠かせない北国といえども、FF式の普及により長い煙突をあまりみかけなくなってきてるこの時代、あんなに立派な煙突を燦然ときらめかせているのは、どう考えても珈琲焙煎の工房だ。よく…

啓蟄の心配事 ~何も生えてないように見えるがそこはネギ畑

啓蟄である。 七十二候では「蟄虫啓戸」、すごもりのむしとをひらく、だ。 読めるかそんなもの。今年は季語の日めくりカレンダーを使っているので読めもしない季節感にやたら詳しくなった。 飼っている人なら誰でも知っている通り、猫にも啓蟄がある。 何ヶ…

花の名前は雪柳

レンギョウの枝を買って帰ってきたのは吹雪の日だった。ただでさえ幅の狭くなっている冬の歩道を、肩をすぼめつつ大きな枝を持ち歩く私に向かっても春の吹雪は強く吹き付け、十文字形に咲く黄色い花弁にまで雪が積もった。 250円と、セットの切り花にしても…

ポメラDM200がどんなふうに素晴らしいかに関する冒険

3月になったので「ここまで来ればもうだいたい春みたいなもんだ」なんて、余裕のそぶりをしていたら、途端にゴウゴウうなり声をあげる吹雪である。ベランダでは私のネギ畑が、雪が積もったり氷が張ったり散々な目にあっている。 消息を知りたくてのぞき込ん…

春運ぶ飛行機雲

ちょっとばかり郊外を歩いていたら、街が切れたあたりで目の前に唐突に大きな雪原が広がった。玉ねぎ畑かなにかだろう。 こんもり盛り上げたような新雪が丸く積もって可愛らしく、その上に、はしゃいで踏み込もうとしたけど予想以上の深さに戸惑って諦めたら…