晴天の霹靂

びっくりしました

エッセイ

来るなと言ったではないか

葛の花来るなと言つたではないか 飯島晴子 新日本カレンダー 2022年 カレンダー 日めくり 俳句の NK8813 新日本カレンダー Amazon お手洗いの俳句日めくりを破るといきなり誰かが愚痴っているの愉快な一日だ。 「……来るなと言ったではないか」 と思う日は、…

モノビジョンの少し溶ける世界

なんとなく世界が歪んでいるような気がするし、傾いているような気がするし、頼りない。 そういう頼りない世界を足の裏で踏んで歩くと、意外にも昨日までと同じようにしっかり押し返してくるのは興味深いことである。 左右の視力差を今までずっとコンタクト…

「スマイル40」の40が何の数字であるかについては誰も触れない

近頃しきりに100円ショップでおもちゃみたいなピアスを買ってきては解体して、金具を付け替えたり、パーツをバラして余ってる真珠と合わせたり、レジンで作ったガラクタと合わせたり、といった遊びをしている。 しみじみ子どもっぽい「工作」であって、無害…

イデアが逆立ちしたピアス

少し前に通り過ぎた台風のおかげで、自然公園の中は木の実が豊富に落ちており、ここのところカラスもリスも大わらわでどんぐりを拾い集めている。 動物たちに混じって、わたしも綺麗めのどんぐりを探しに行く。 近頃、色々あってレジンのスターターキットな…

芋を掘りに。

「芋を掘りに来ないか」と誘われた。 この物価高の折、「行く行く」と二つ返事。 到着するなり、芋はさておき「訪問販売?」っていうくらいの量の野菜を広げて見せられる。 「これ、かぼちゃね、一ヶ月くらいこのまま干して。小さいからまるごとレンジにかけ…

本当に自分は金属アレルギーだったのか20年越しで考え直した

ピアスホールは学生の頃からあいているのだけど、しばらく色々つけてみた挙げ句、自分は金属アレルギーだと思って諦めてしまっていた。 そんな中、実に二十年ぶりくらいで 「うーん、ピアスか」 と思ったのは、手芸屋さんで樹脂製のピアスパーツを見かけたの…

バッタは無事に帰ったか

最初の出会いは一週間ほど前だった。 共用玄関から我が家まで上がってくる階段の途中、三階あたりに緑もあざやかなバッタがじっとしていたのだ。 薄暗いコンクリートづくりの階段の上で、バッタはよく目立つ。 「なんだなんだ、踏まれないように気をつけなさ…

夏の終わりの小石湧く

人里近くでもっともよく聞かれる小鳥の鳴き声のひとつが 「チヨチヨビー」でおなじみ、センダイムシクイのさえずりであろうかと思う。 近所の公園にはこれの、やたらリズム感の良い個体が暮らしていて、 おどろくべきことに『ロッキーのテーマ』で鳴くのであ…

毛糸の上にトンボがいます

ピアスのパーツを探しに百円ショップの手芸コーナーへ行った。 細々したものがびっしり並ぶ棚の前であれこれじっくり見ていたら隣で 「ヒャッ」 と女性の声がした。 見れば年の頃私より少し上くらいの店員さんが隣で毛糸の整理をしている。 毛糸の間に何か見…

立秋の自由研究

日暮れ後の風が急に「スーンとしてるな」という心持ちがして暦を見たら立秋だ。 暑い盛りではあっても、「秋」という文字を見ると、急になんだか夏休みが終わるような寂しい気持ちになる。 時々のぞく手芸屋さんでピアスのパーツを売っているのを見つけた。 …

真夏の昼の幻影

公園に入ったあたりの小道で、正面からやってくる白髪の女性に声をかけられた。 「神社はどっちの方ですか」 ああ、神社。ここらはもう鎮守の森の中である。 「この道を上がっていったらすぐ右手に鳥居ですよ」 ありがとうと頭を下げて女性は道を上がってい…

豆子と石原兄弟と自転車と

朝家を出たら、公道に出るすぐのところに昵懇の子ガラスがいた。 相変わらず、草むらの中にひとりでぽつねんと立ってじっとしている。 鳥なんだから、地べたにいつもいることはないじゃないか。 「おはよう」 私は今日もナンパの声をかけるのだが、ぴょんぴ…

新しい友だちの予感

うちの近くにはカラスの親子が住んでいる。 雛鳥が巣から出られるようになって飛行訓練をはじめた初夏の頃から、私は顔見知りだった。 通りすがりに子ガラスが地べたにいて、見事なだみ声で鳴いているのを 「おお、なんだどうしたどうした」 と声をかければ…

身も蓋もなく龍角散

歳をとると思いがけないことが色々起こるもの。 昭和52年生まれ、近頃起こったファンタスティックな事件と言えば 「普通に実用的な意味で龍角散を買うようになった」ことだ。 今となっては「あの缶がレトロでかわいいのよぉ」というしゃらくさい動機から買っ…

阿弥陀如来の右腕の夢

近所に昵懇の阿弥陀如来さんが居る。 人気のない静かな場所にいつも一人でじっと立っている風情が好きで、通りかかると挨拶をする間柄ではあったのだ。 小柄なその人は雪よけであろうと思われる粗末な木造の小屋の中に立っており、小屋の両脇はただ抜いて木…

白いポッカの管理人

どうにも日本語の通じない管理会社の、愚にもつかない漏水案件にかれこれ10ヶ月ほどもつきあわされている。 そろそろ疲れてきているので、「話せばわかるんじゃないか路線」を放棄、思いつく限りいろんな見積もりをかき集めて外堀を固め、最終的な選択だけ迫…

季節の代わり目の罠

冬の間しまいこんでいた扇風機を出してきて、蒸し暑く感じる日に短時間つけたりつけなかったりするくらいの季節である。 「ちょっとだけつけておくか」 なんて言って、部屋の隅、壁コンセントのあたりに扇風機を置いたまま電源を入れる。 真後ろから風があた…

ヤクルト1000がなければヤクルト1000以外のものを飲めばいいじゃない

どういうわけだかヤクルト1000の人気がやたらとすごいというので、走って見に行ってみたら実際、どこのスーパーもこんな感じになっているではないですか。 「へえ、なになに。なんでそんなに売れてるの」 なんてwebサイトを見てるとヤクルト1000はさておいて…

外界にも、お手洗いにも季節あり

お手洗いで使ってる俳句日めくりカレンダーを非常に気に入っており、今年で二年目です。 365日分、季節ごとの俳句、季語、二十四節気七十二候、月齢なんかがのっていて、毎日ぼんやり眺めては、それでも地球が回っていることを噛みしめるのが本当に楽しいお…

自転車が盗まれたかもしれない悲しい話

「自転車なくなちゃってさ」 「えっ、盗難?」 「そうだと思うんだけどね。駐輪場において用事足して戻ったら見つからないんだけど。最近私も色々あってちょっとぼんやりしてるから、置いた場所がわからなくなった可能性もゼロではない」 「もう一回探しに行…

そして管理会社との静かなる闘い

寒くて薄暗い事務室でお話をしてる合間にも、いろんな人がやってくる。 ご近所にお住まいという老婦人が、野原でつんだような実に慎ましい花束をおいていったのを、備前焼の花瓶に移しながら小柄な管理人さんが言った。 「大きなホテルなんかには必ず花が活…

黙々と毛づくろいをするわたし

私の感覚ではつい最近のことだが、考えてみればもう8年も前のことだ。 初めての猫を飼い始めた時。 手のひらに乗るくらい小さくて、人を困らせることと笑わせることと心配させることしかしない、せわしない生き物なのにびっくりした。 こちらもはじめてだか…

超多忙不動産の若手社員 ~滝のある部屋

「滅多なことは口にできない」 と、男は言った。不動産管理会社若手社員である。 「滅多なことは口にできない」 電話口で聞いていた私もびっくりしてオウム返しする。 そのボキャブラリーがすぐ出てくる引き出しにひょいと入ってるの、すごいな。 今週中に進…

オンクルアンシのチョコレート缶 ~未来はバーチャル狂気でできていたか?

「ああ、こんな雑貨屋さんがあるのか」 とふらっと入った地下街のお店で、かわいいチョコレートの缶がある。 いかにも私好みの、古風なデザインのフランス製だ。 連休明けくらいから、ずっとコットンの糸を編んだりほどいたり編んだりほどいたりしている。 …

バンクシー展 ~足が早そうな人にはむやみに感心するクセがある

バンクシー展見てきました。 もはや「バンクシーを見に行く」というのがどういうことなのか、考えだすとなんだかわからない。 ステンシルにうまいもへたもないだろうよ、とか グラフィティの写真を見に行くならネットで見てれば足りるんじゃないか、とか ジ…

小鳥のマグを買う理由

そろそろ卵を買っておこうと思ってスーパーへいくと思っていたより40円ほども値段が高い。 うーむ、いつの間にこんな値段になったものか? と、しばし立ち尽くしていると、すぐとなりで女性の声がする。 「卵高くなったねえ」 行きがかり上、ほぼ無意識にコ…

失われかねない時を求めて ~日々、読みたい本もたくさんある中ですが

驚くほど世界がカーネーションだらけになっている週末である。 「母の日って何を贈ったらいいんだろう」 とカーネーションを横目に、一緒にいた友人に聞かれた。 「よく知らないけど我々より上の世代はハズキルーペとか興味津々らしいよ」 というざっくりし…

人生は魚の苦いとこ、唇はいちじくの暗いとこ

知る人ぞ知る、知らない人ぞまるきり知らない話をします。 KATEという化粧品メーカーの「リップモンスター」という口紅が大変に人気があるそうな。 もともとドラッグストアなんかで売られている安い価格帯の商品であるにも関わらず、ネットでは倍近い値段が…

ワクチン接種三回目と夢のカスタマイズ実験

ワクチン三回目接種である。 前回までの経過から考えてどうやってもある程度の高熱で寝込むことになるであろうという予測はたったので、念入りに仕込みをした。 ポカリスエット、ゼリー、ヨーグルトを「さすがに多いかな」くらい買い込んで置くこと。 「幻覚…

熱の予感やら夏の予感やら

ワクチンの三回目の接種である。 二回目に大きな副反応が出た人はどうやら三回目も同程度の反応が出るらしいと聞いて、できれば交差接種を、と思ったものではあるが、時間やら場所やらの都合で結局またモデルナワクチン。 どうやら39度くらいまでは出て寝込…