晴天の霹靂

びっくりしました

エッセイ

ポイント1%に悩むとき

寒さのせいであんまり腰が痛いので、冬の季語に「腰痛」は入っているんだろうかと調べてみたところ角川の入門用の俳句歳時記には入っていなかった。 みんな、冬は腰が痛むものではないのか。 今はじめる人のための俳句歳時記 新版 (角川ソフィア文庫) KADOKA…

ミラーバーン、プルースト、アンタッチャブル

「1月としては95年ぶりの高い気温」などと言われた数日間の後に、冷え込みと大雪がやってきて、結果的に道路はどこもミラーバーンの上にふんわりと新雪をのせたブービートラップになっている。 力を入れて踏みとどまるべき地点のひとつもなく、ただ摩擦係…

寒中の時の女神や猫光る

ひとくち噛むとまぶたの裏にバター色の稲光が見えるくらいおいしいクロワッサンを売っているパン屋さんを見つけた。 3年もこのあたりに住んでいるのにちっとも気づかずに暮らしていたとは、私かパン屋さんのどちらかが時空のエアポケットに落ちていたのに違…

毛糸玉どかして猫が膝にのる

正面からロックンロール風ファッションで決めたイケオジが、ゆうゆうと犬の散歩をさせつつ歩いてくる。 シェパードあたりが似合いそうないかつい散歩のお供で歩いているのは、うちの猫くらいのサイズの牛柄の子犬。 なるほど、これがギャップ萌えというもの…

若者よ、大志を抱け

冬休みのせいか巷で子どもをよく見かけるうえに、正月休みのせいか老人と孫のカップリングが目立つようである。 目の前には未就学児とおぼしき男児と、慣れない孫とコミュニケーションを成立させたくて仕方ないおじいちゃんが居る。 男児はよく通る声を降り…

目の下のくま、完全解決の全道のり

いつの頃からか目の下のくまがずっとある。 なんとなく「よく眠れば治るんだろう」と思いながら見えないふりをしていたが、落ち着いて考えてみれば、かれこれ十年以上もあるものを「よく眠れば」もおかしい。 なじみの美容師さんにそう言ってみたら 「目の大…

初鴉出て行きたがる猫止める

近所のパン屋さんへ行く。 パリパリの生地のアップルパイは、焦げやすさのギリギリを攻めた職人仕事のお陰でいかにも香ばしく焼き上がっている。 ポテサラパンは、まったくてらいのないみっちりしたコッペパンに千切りのキャベツとふわっとしたポテトサラダ…

寒の入り黒猫の目に涙あと

年末にカップウォーマーを貰って予想に反して便利だった話を書いたのだけど、使い続けると予想に反してもうひとつ便利な点があるので、ついでにそれも書いておくことにする。 rokusuke7korobi.hatenablog.com おまけ程度ながらスマホスタンドがついているの…

猫のひげ平和の宿る松の内

お店で何を手にとってもどうも前より高くなってる気がしている昨今、 初売り後からまたなんだか一段階価格の水準が上がったように思える。 こちらが油断してるスキに上っているとは薄情、と売り場を見まわせば、一角にたくさん並んだ数の子に豪勢に半額シー…

去年今年こたつは猫の夢の国

ありがたいことに今年も良い正月を過ごした。 毎年、「こんなにたくさん作ってどうするのか」とひとりで呆れる正月用の料理も、老父におすそ分けしたり、友人にふるまったりするうちに、新年三日目には、はかったようにぴったりと底をつく。 中でも、これま…

昆布巻きとiPhone

iPhoneは見た目に違わず硬かった。 私は歯ごたえのあるものが全般に好きなので、硬さについてはむしろ好ましい印象を持ったが、何しろ苦く、あまり美味とは言えない。 しかしまあ、食べ始めてはじめてしまったものなのでちゃんと食べきろうと咀嚼しながらこ…

目の覚めるほど地味な筑前煮を作りながら『ザ・メニュー』について考える

「別に、こんなことしなくてもいいのだが……」 などと心に言い訳をしながら、今年もあれこれとおせち作りの算段をして、なますや黒豆あたりから作り始めている。 いくら単身者だからと言っても自分のためにおせち料理を作るくらいのことで言い訳がましくふる…

ある雪道のできごと

普段は道が広いばかりが自慢の北海道だが、大雪の後は途端に車道も歩道も狭くなる。 たまたま小学生の列にでも行きあえば、いったん車道に出て追い抜きをかけるというわけにもいかず、一切真面目に歩く気のない彼らの後ろをトボトボとついて歩くことになる。…

ああ憧れの熟年航路

雑貨店を通りしな、手袋を売っているコーナーを目に止めた。 自分で編み物をするようになった昨今、スマホ時代における防寒と実用性を兼ね備えた手袋とはいかなる形であるのかの研究に余念がないのだ。 いくつかの気になる手袋をしきりにつけたり外したりし…

震える子犬、丸まる家猫

冬の入口で、まだ行く人達も雪に慣れきっていない横断歩道。 信号待ちをしていたら目の前におもちゃのように小さな犬がいる。 「犬って猫より小さいよなあ」 と感心して見てる間に、猛烈な勢いで子犬が震え出した。 ……えっ?あれ?なんかこの子めちゃめちゃ…

猫と炬燵と冬の悩み

冬には冬の悩みがある。 猫がいつまでも炬燵から出てこないので、下のラグが掃除できないのだ。 言葉にすればつまらぬ悩みのように響くが、まあ聞いてほしい。 この季節の炬燵は、猫が日がな一日居るところであり、人間が食事をするところでもある。 要する…

白鷺の池

朝、カーテンをあけた瞬間に世界が白い朝というのは、毎年経験しているはずではあるが、何十回経験しても未だにハッとする新鮮さがある。 外界が白く、すべてのものがシンとして、誰もかれも家にこもり、世界は私のものである。 寒い日に外を歩くと実感する…

冬の散歩道

公園は数日前と比べても同じ場所とは思えないくらい、もうすっかり見晴らしがよくなってしまった。 あんなに木の葉の茂った立派な森林だったものがいつの間にか寒々として、鉛色の池に浮かぶ鴨までがうつむいている。 ポケットに手を入れて肩をすくめて歩い…

千円カットと注目の取り組み

色々あって半年ほども美容室に行けていないまま髪が伸び、このままうっかりしてると感染症大流行でまた身動きとれなくならないとも限らない。 伸ばたら伸びたでまとめてしまえばやっていけなくもなくもないが、毛先が薄くなってくるのはやはり気にはなるので…

和歌山県の特殊な装置、および五本指手袋問題

シーズンで安いので毎日せっせと柿を食べている。 6個位入った袋を買って来て、ひとりで2日ほどで食べ切っているのだけど、考えてみればこれは食べ過ぎというのかもしれない。 そんな素敵な和歌山産たねなし柿の袋がこれだ(中身は食べ終わった) よく見ると…

来るなと言ったではないか

葛の花来るなと言つたではないか 飯島晴子 新日本カレンダー 2022年 カレンダー 日めくり 俳句の NK8813 新日本カレンダー Amazon お手洗いの俳句日めくりを破るといきなり誰かが愚痴っているの愉快な一日だ。 「……来るなと言ったではないか」 と思う日は、…

モノビジョンの少し溶ける世界

なんとなく世界が歪んでいるような気がするし、傾いているような気がするし、頼りない。 そういう頼りない世界を足の裏で踏んで歩くと、意外にも昨日までと同じようにしっかり押し返してくるのは興味深いことである。 左右の視力差を今までずっとコンタクト…

「スマイル40」の40が何の数字であるかについては誰も触れない

近頃しきりに100円ショップでおもちゃみたいなピアスを買ってきては解体して、金具を付け替えたり、パーツをバラして余ってる真珠と合わせたり、レジンで作ったガラクタと合わせたり、といった遊びをしている。 しみじみ子どもっぽい「工作」であって、無害…

イデアが逆立ちしたピアス

少し前に通り過ぎた台風のおかげで、自然公園の中は木の実が豊富に落ちており、ここのところカラスもリスも大わらわでどんぐりを拾い集めている。 動物たちに混じって、わたしも綺麗めのどんぐりを探しに行く。 近頃、色々あってレジンのスターターキットな…

芋を掘りに。

「芋を掘りに来ないか」と誘われた。 この物価高の折、「行く行く」と二つ返事。 到着するなり、芋はさておき「訪問販売?」っていうくらいの量の野菜を広げて見せられる。 「これ、かぼちゃね、一ヶ月くらいこのまま干して。小さいからまるごとレンジにかけ…

本当に自分は金属アレルギーだったのか20年越しで考え直した

ピアスホールは学生の頃からあいているのだけど、しばらく色々つけてみた挙げ句、自分は金属アレルギーだと思って諦めてしまっていた。 そんな中、実に二十年ぶりくらいで 「うーん、ピアスか」 と思ったのは、手芸屋さんで樹脂製のピアスパーツを見かけたの…

バッタは無事に帰ったか

最初の出会いは一週間ほど前だった。 共用玄関から我が家まで上がってくる階段の途中、三階あたりに緑もあざやかなバッタがじっとしていたのだ。 薄暗いコンクリートづくりの階段の上で、バッタはよく目立つ。 「なんだなんだ、踏まれないように気をつけなさ…

夏の終わりの小石湧く

人里近くでもっともよく聞かれる小鳥の鳴き声のひとつが 「チヨチヨビー」でおなじみ、センダイムシクイのさえずりであろうかと思う。 近所の公園にはこれの、やたらリズム感の良い個体が暮らしていて、 おどろくべきことに『ロッキーのテーマ』で鳴くのであ…

毛糸の上にトンボがいます

ピアスのパーツを探しに百円ショップの手芸コーナーへ行った。 細々したものがびっしり並ぶ棚の前であれこれじっくり見ていたら隣で 「ヒャッ」 と女性の声がした。 見れば年の頃私より少し上くらいの店員さんが隣で毛糸の整理をしている。 毛糸の間に何か見…

立秋の自由研究

日暮れ後の風が急に「スーンとしてるな」という心持ちがして暦を見たら立秋だ。 暑い盛りではあっても、「秋」という文字を見ると、急になんだか夏休みが終わるような寂しい気持ちになる。 時々のぞく手芸屋さんでピアスのパーツを売っているのを見つけた。 …