晴天の霹靂

びっくりしました

エッセイ

ただなんとなく日に焼ける

友人に会ったらマジマジと顔をみて「灼けたね」と言われて少々驚く。つい最近、冬が終わったばかりだとばかり思っていた。 灼けたと言われたあとに「どこか遊びに行ったの?」などと語を継がれないところが庶民暮らしのいじらしさ。どこぞのバカンスで降り注…

地球のねじが巻かれて初夏へ

数日前まではこんなじゃなかったように思うが、いきなり木々の新緑が血気盛んになり、今日という地上に繁茂していた。 新緑は、ちょっと目を離しているすきに一瞬で世界の様相を変える。 あれ、こんなだったかな。昨日はこんなじゃなかった気がするけどな。 …

血まみれ日曜日

連休も最後とあって、貸しボートのある池には親子連れがたくさん遊んでいる。 さほど広くもない池の一部でボートが渋滞しているので「危ないなあ」と見やると、渋滞の先に親子連れの鴨が泳いでいるのだ。 旗振り役の鴨の後ろを、握りたてのおむすびくらいの…

春の小学生

信号待ちをする横断歩道の向こう側に小学生がずらっと居る。 なるほど連休前というのはたいしたもんで、全員が目を見張るほどはしゃいでいる。 それにしてもきれいに端から端まで並んでるもんだなあ、と思ったら、なんと全員「よーい、どん」の姿勢を取って…

龍角散はどこまでのみやすくしても良いか ~叱咤激励される線毛運動

結局あれこれ試しても一番効いた感がする龍角散であるが、毎回必ず思うのは 「これはもうちょっとのみやすくならないものなのだろうか」 ということである。 口に入る量の粉末と同じくらいの量の粉末を毎回こぼしているような気すらする。 【第3類医薬品】龍…

咳喉選手権 ~色々あるけどやはり龍角散

止まらない咳は日常生活への支障も大きいので、数日で色々と集める結果になったあれこれ。 咳喉選手権 出先ですぐに使うにはトローチ、とか。 出かけるから一定時間咳を止めておくには飲み薬、とか 結局用途に合わせて色々揃える羽目にはなるのではあるけれ…

抗原検査キットを使ってみる~陰性は陰性で新たなる謎

今月いっぱいまで、自治体でコロナ感染症の抗原検査キットの無料配布があったのでネット取り寄せてみた。 結果から言うと陰性だったので、むしろ衝撃を受けている。 うっそ、今の状況は普通に風邪なの。こんな風邪ってあるの。 丈夫すぎる人生を送ってきたせ…

咳止めに花

ずいぶんとヤバい感じの咳が止まらないので、時勢柄、できるだけ外出を避け続けて3日。 「そうは言っても熱が出ているわけではないので、そろそろ外に出ないと本当に病人になってしまう」 という小心な危機感を持って恐る恐る外にでることにする。 自分でも…

フルーチェは命の母

久しぶりに、きっちり風邪である、 とにかく喉が痛いのであり、「喉の症状だけなら日常生活に支障はないだろう」などと思っているうちに、寝ても醒めても痛いということそのものにぐったりしてくる。 保湿のために不織布マスクをつけたまま寝てはみても、朝…

巨人を倒す日曜日

「統一地方選」という名の選挙があったので、全国どこでも選挙の日曜日なのかと思っていたら、今日じゃない地域もあるし、そもそもやっていない地域もいっぱりあるようなので驚いた。 地方選たるもの、どうにもわかりにくいものであるな。 ともあれ、今日は…

地球に関して大発見をした話 ~百年の孤独とアースボール

四十代も半ばに差し掛かり、最近私はすごいことを発見した。 実は地球には海が多いらしい。 いやマジで。 ほぼ日 ほぼ日のアースボール ジャーニー 世界の国を色彩ゆたかに塗り分けた本格地球儀タイプのアースボール。アプリをかざせば世界の情報が飛び出し…

犬も子どもも大人も、だいたいは前に向かって進んでいる

人気の少ない公園の遊歩道を歩いていたら、急に右足に何かずしっとしたものがぶつかった感触、それからすぐに背後から声が飛んでくる。 「すみませーん」 振り向くとすぐ足元でリードを引きずった小さな犬が嬉しげにこちらを見上げている。 先程、道の端でち…

春の超個人的在庫一掃ビスコッティ

池の雪と氷もすっかり溶けて、ういろうみたいに淀んだ色の水の中にいつも通りの鴨が浮いている。 冬の間は日向でねじりドーナツみたいになっていたものが、すっかり安心して水中の藻などついばんだりする姿を見るに「待てば海路の日和ありだったねえ」などと…

思ってたのとちょっと違うけどたぶん美味しいハンバーガーを食べに行く

ちょっと高いハンバーガー屋さんへ行く。 チェーン店がハンバーガー界を席捲する中にあって、実に貴重な個人営業の小さいお店である。 だいたいどのメニューもマックの三倍くらいの値段の感じで、 「本来、まっとうなパテをまっとうなバンズで挟んでまっとう…

電気代が高いのでAmazon Prime会員を退会してみた

大寒波が来ていたとはいえ、1月の電気代を見ておののいた。 猫を凍えさせない程度にしか暖房器具は使っていないのであるが、それでもそれなりにぴりっとしてくしゃっとなる請求である。 この上、猫を凍えさせない程度に節約するには、どこを減らせば良いのか…

ぬか床育成再び

家の近くのお米屋さんに行って、カウンターに米ぬかがサービスで置いてあるのを見つけた。 清潔で管理の良いお米屋さんで精米したばかりのその米ぬかが、なんとも美味しそうに見えたので、ほとんど何も考えずに咄嗟に一袋貰う。 ぬか床は、発酵させる様子が…

ポイント1%に悩むとき

寒さのせいであんまり腰が痛いので、冬の季語に「腰痛」は入っているんだろうかと調べてみたところ角川の入門用の俳句歳時記には入っていなかった。 みんな、冬は腰が痛むものではないのか。 今はじめる人のための俳句歳時記 新版 (角川ソフィア文庫) KADOKA…

ミラーバーン、プルースト、アンタッチャブル

「1月としては95年ぶりの高い気温」などと言われた数日間の後に、冷え込みと大雪がやってきて、結果的に道路はどこもミラーバーンの上にふんわりと新雪をのせたブービートラップになっている。 力を入れて踏みとどまるべき地点のひとつもなく、ただ摩擦係…

寒中の時の女神や猫光る

ひとくち噛むとまぶたの裏にバター色の稲光が見えるくらいおいしいクロワッサンを売っているパン屋さんを見つけた。 3年もこのあたりに住んでいるのにちっとも気づかずに暮らしていたとは、私かパン屋さんのどちらかが時空のエアポケットに落ちていたのに違…

毛糸玉どかして猫が膝にのる

正面からロックンロール風ファッションで決めたイケオジが、ゆうゆうと犬の散歩をさせつつ歩いてくる。 シェパードあたりが似合いそうないかつい散歩のお供で歩いているのは、うちの猫くらいのサイズの牛柄の子犬。 なるほど、これがギャップ萌えというもの…

若者よ、大志を抱け

冬休みのせいか巷で子どもをよく見かけるうえに、正月休みのせいか老人と孫のカップリングが目立つようである。 目の前には未就学児とおぼしき男児と、慣れない孫とコミュニケーションを成立させたくて仕方ないおじいちゃんが居る。 男児はよく通る声を降り…

目の下のくま、完全解決の全道のり

いつの頃からか目の下のくまがずっとある。 なんとなく「よく眠れば治るんだろう」と思いながら見えないふりをしていたが、落ち着いて考えてみれば、かれこれ十年以上もあるものを「よく眠れば」もおかしい。 なじみの美容師さんにそう言ってみたら 「目の大…

初鴉出て行きたがる猫止める

近所のパン屋さんへ行く。 パリパリの生地のアップルパイは、焦げやすさのギリギリを攻めた職人仕事のお陰でいかにも香ばしく焼き上がっている。 ポテサラパンは、まったくてらいのないみっちりしたコッペパンに千切りのキャベツとふわっとしたポテトサラダ…

寒の入り黒猫の目に涙あと

年末にカップウォーマーを貰って予想に反して便利だった話を書いたのだけど、使い続けると予想に反してもうひとつ便利な点があるので、ついでにそれも書いておくことにする。 rokusuke7korobi.hatenablog.com おまけ程度ながらスマホスタンドがついているの…

猫のひげ平和の宿る松の内

お店で何を手にとってもどうも前より高くなってる気がしている昨今、 初売り後からまたなんだか一段階価格の水準が上がったように思える。 こちらが油断してるスキに上っているとは薄情、と売り場を見まわせば、一角にたくさん並んだ数の子に豪勢に半額シー…

去年今年こたつは猫の夢の国

ありがたいことに今年も良い正月を過ごした。 毎年、「こんなにたくさん作ってどうするのか」とひとりで呆れる正月用の料理も、老父におすそ分けしたり、友人にふるまったりするうちに、新年三日目には、はかったようにぴったりと底をつく。 中でも、これま…

昆布巻きとiPhone

iPhoneは見た目に違わず硬かった。 私は歯ごたえのあるものが全般に好きなので、硬さについてはむしろ好ましい印象を持ったが、何しろ苦く、あまり美味とは言えない。 しかしまあ、食べ始めてはじめてしまったものなのでちゃんと食べきろうと咀嚼しながらこ…

目の覚めるほど地味な筑前煮を作りながら『ザ・メニュー』について考える

「別に、こんなことしなくてもいいのだが……」 などと心に言い訳をしながら、今年もあれこれとおせち作りの算段をして、なますや黒豆あたりから作り始めている。 いくら単身者だからと言っても自分のためにおせち料理を作るくらいのことで言い訳がましくふる…

ある雪道のできごと

普段は道が広いばかりが自慢の北海道だが、大雪の後は途端に車道も歩道も狭くなる。 たまたま小学生の列にでも行きあえば、いったん車道に出て追い抜きをかけるというわけにもいかず、一切真面目に歩く気のない彼らの後ろをトボトボとついて歩くことになる。…

ああ憧れの熟年航路

雑貨店を通りしな、手袋を売っているコーナーを目に止めた。 自分で編み物をするようになった昨今、スマホ時代における防寒と実用性を兼ね備えた手袋とはいかなる形であるのかの研究に余念がないのだ。 いくつかの気になる手袋をしきりにつけたり外したりし…