晴天の霹靂

びっくりしました

『イニシェリン島の精霊』 ~親切おじさんと絶交おじいさんと犬とロバ

ものすごく面白かったので、これがこのまま2023年のベスト映画になっても私は驚かんよ。 www.youtube.com アイルランドの小さな島で、ある日突然おじさんが長年の飲み友達のおじいさんから 「お前は話がつまらんから絶交だ」 と言われる話です。 絶交までの…

ポイント1%に悩むとき

寒さのせいであんまり腰が痛いので、冬の季語に「腰痛」は入っているんだろうかと調べてみたところ角川の入門用の俳句歳時記には入っていなかった。 みんな、冬は腰が痛むものではないのか。 今はじめる人のための俳句歳時記 新版 (角川ソフィア文庫) KADOKA…

『大奥』~いきなりただ事じゃないと思ったら。

「NHKドラマ『大奥』が面白い」 という話が、たまたまつけていたラジオ番組から聞こえてきたときには、私はまだ油断しておりました。 一応大河ドラマにつきあってるし(何がおもしろいのかまだあまりピンときていない)、時代物ドラマはひとつ見れば十分だよ…

大寒波における異文化交流

母の月命日に納骨塚に集合して父娘で般若心経を唱えるという、異次元の珍妙エンタテインメントを実施するようになって三年目である。 未曾有の大寒波が来ている中、いつものように霊園に向かうと、老人は私が昨年末に編んで渡した真紅のマフラーを巻いてそこ…

ワイヤレスイヤホンになんらかの不満のある人はイヤカフ型を試してみるべきだと思われる

ワイヤレスイヤホンって、耳穴に圧迫感あったり、蒸れたり、落ちたり、のどれかで結局装着感はあまり快適なものではない、と思ってきた私が、ついに結論にたどり着いてしまったので自慢気に書いておきたい。 正解は、イヤカフ型である。 【業界初設計 OWSイ…

『ジャクソンひとり』~世界を拡張する言葉

第168回芥川賞が決まったときに、つらつらと候補作などを見ていて、受賞作はさておき(それもきっと面白いに違いないからいずれ読もうとは思ったが)、さしあたってなんだかやけに気になったのが『ジャクソンひとり』だった。 タイトルも装丁も、もうそこに…

臍のない煮こごり猫の甘え方

吹雪と吹雪の合間に惚れ惚れとするような冬晴れがやってくる。 新雪に埋め尽くされた晴天は、光の中の光、白の中の白、という色をしており、これほどの美しい風景は豪雪地帯の人でもなければ見ることもあるまい、などと思う。 路肩の雪山は一日でいきなり高…

餌皿の前で呼ぶ猫着ぶくれて

お手洗いに俳句日めくりをかけること三年目。 今年はいよいよ図に乗るも甚だしく、三色ボールペンをセットで掛けておいて 「この句は何が面白いのか」 などと赤字でかきつけるなどの暴挙に及んでいる。 トイレだけにクソリプである。 クソリプ依存の人はむや…

毛布揉む猫の真顔の黙示録

40代も半ばを過ぎて、何が一番びっくりしたかといえば、何もしていないのにいきなり気管にツバが入って死にそうになることだ。 明らかに私のせいではなくて設計がおかしいはずだと思うのだけど、インテリジェントデザイン説の人たちはあまりムセない体質な…

ミラーバーン、プルースト、アンタッチャブル

「1月としては95年ぶりの高い気温」などと言われた数日間の後に、冷え込みと大雪がやってきて、結果的に道路はどこもミラーバーンの上にふんわりと新雪をのせたブービートラップになっている。 力を入れて踏みとどまるべき地点のひとつもなく、ただ摩擦係…

寒中の時の女神や猫光る

ひとくち噛むとまぶたの裏にバター色の稲光が見えるくらいおいしいクロワッサンを売っているパン屋さんを見つけた。 3年もこのあたりに住んでいるのにちっとも気づかずに暮らしていたとは、私かパン屋さんのどちらかが時空のエアポケットに落ちていたのに違…

『言葉の獣』~近頃私も季節感が猫の姿に見えるようになりまして

最近読んだおもしろい漫画。 「言葉が獣の姿で目に見える」という共感覚を持つ女子高生の話です。 言葉の獣 (1) (トーチコミックス) 作者:鯨庭 リイド社 Amazon 「そんな共感覚設定、よく思いついたなー」と思ってみたりもしたもんですが、最近私もいよい…

毛糸玉どかして猫が膝にのる

正面からロックンロール風ファッションで決めたイケオジが、ゆうゆうと犬の散歩をさせつつ歩いてくる。 シェパードあたりが似合いそうないかつい散歩のお供で歩いているのは、うちの猫くらいのサイズの牛柄の子犬。 なるほど、これがギャップ萌えというもの…

凍て星の下に寝る猫黒光り

今シーズン一番の大雪なのだそうで、たしかにたくさん降ったのだ。 それにしても、昨シーズン本当に往来のあちこちで雪に埋まった車が進退窮まって止まっている風景を目にした記憶が強烈なので 「そうは言ってもまだ普通の大雪だな」 という気がしている。 …

若者よ、大志を抱け

冬休みのせいか巷で子どもをよく見かけるうえに、正月休みのせいか老人と孫のカップリングが目立つようである。 目の前には未就学児とおぼしき男児と、慣れない孫とコミュニケーションを成立させたくて仕方ないおじいちゃんが居る。 男児はよく通る声を降り…

目の下のくま、完全解決の全道のり

いつの頃からか目の下のくまがずっとある。 なんとなく「よく眠れば治るんだろう」と思いながら見えないふりをしていたが、落ち着いて考えてみれば、かれこれ十年以上もあるものを「よく眠れば」もおかしい。 なじみの美容師さんにそう言ってみたら 「目の大…

初鴉出て行きたがる猫止める

近所のパン屋さんへ行く。 パリパリの生地のアップルパイは、焦げやすさのギリギリを攻めた職人仕事のお陰でいかにも香ばしく焼き上がっている。 ポテサラパンは、まったくてらいのないみっちりしたコッペパンに千切りのキャベツとふわっとしたポテトサラダ…

寒の入り黒猫の目に涙あと

年末にカップウォーマーを貰って予想に反して便利だった話を書いたのだけど、使い続けると予想に反してもうひとつ便利な点があるので、ついでにそれも書いておくことにする。 rokusuke7korobi.hatenablog.com おまけ程度ながらスマホスタンドがついているの…

猫のひげ平和の宿る松の内

お店で何を手にとってもどうも前より高くなってる気がしている昨今、 初売り後からまたなんだか一段階価格の水準が上がったように思える。 こちらが油断してるスキに上っているとは薄情、と売り場を見まわせば、一角にたくさん並んだ数の子に豪勢に半額シー…

去年今年こたつは猫の夢の国

ありがたいことに今年も良い正月を過ごした。 毎年、「こんなにたくさん作ってどうするのか」とひとりで呆れる正月用の料理も、老父におすそ分けしたり、友人にふるまったりするうちに、新年三日目には、はかったようにぴったりと底をつく。 中でも、これま…

『すずめの戸締まり』 ~女子高生は生にんじん弁当を好むのか

新年一本目、『すずめの戸締まり』観てきました。 予想したより楽しんで観れてしまったので帰り道ちょっと反省した。 www.youtube.com 新海誠監督に関しては、直近三作のポスターを並べると全部同じに見えるあたりで 「うーん、これはもう見なくても大丈夫な…

昆布巻きとiPhone

iPhoneは見た目に違わず硬かった。 私は歯ごたえのあるものが全般に好きなので、硬さについてはむしろ好ましい印象を持ったが、何しろ苦く、あまり美味とは言えない。 しかしまあ、食べ始めてはじめてしまったものなのでちゃんと食べきろうと咀嚼しながらこ…

目の覚めるほど地味な筑前煮を作りながら『ザ・メニュー』について考える

「別に、こんなことしなくてもいいのだが……」 などと心に言い訳をしながら、今年もあれこれとおせち作りの算段をして、なますや黒豆あたりから作り始めている。 いくら単身者だからと言っても自分のためにおせち料理を作るくらいのことで言い訳がましくふる…

『エルピス―希望、あるいは災い―』 ~東電OL殺人事件おじさんが開く突破口

師走も押し迫り、今シーズン私のイチオシドラマ『エルピス』も終わってしまった。 www.youtube.com あんまりとんでもない話なので後半はドラマの配信を待ちつつ、エンドロールでズラズラと並ぶ参考文献からKindleで手に入るものを次々読んでいた日々。 9冊挙…

カップウォーマー ~あればあったで手放せない

「こういうのって一見便利そうだけど、実際使ってみると使い心地は中途半端なんだろうなあ」 などと長年思い続けてきたものが、いざ手に入ると案外毎日使い倒しているパターン、たまにある。 猫/犬模様 コーヒーカップウォーマー 保温コスター オフィスウォ…

2022年印象に残った小説

異形の愛 異形の愛 作者:キャサリン・ダン 河出書房新社 Amazon 世にあまねく存在する愚鈍な「フツーども」を見下し、「もっともっと奇形になりたかった」と願うサーカスの花形一家没落の物語。 物語の中で貫かれている「バラエティこそが美しいんだ」という…

洗髪事情2022 ~スカルプブラシ、湯シャン、グレイヘア、ピンクシャンプー

2022年は、毎日シャンプーするという習慣を辞めた年であった。 なんでかと言って、頭皮が凝るので買ったスカルプブラシを使うのが大変気持よくて気に入ったので 「こんなに爽快になるなら別にシャンプーもいらないのじゃないか」 と思ったのがきっかけだ…

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』~面白いところは色々あった

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』観てきました。 一作目であんまり面白かった思い出がないので、行くつもりもなかったのではありますが、改めてツラツラ考えるに、2009年ならともかく未だに3Dに一人執着してるキャメロンは「だいぶ偉いよな」とい…

猫、冬の食欲

寒くなると猫の食事量が目に見えて増えるのは毎年のことだ。 日がな一日こたつに引きこもって寝ているのだから、夏以上のカロリーが必要になる道理もないと思うのだが、猫には猫の都合がある。 そもそも、猫が折に触れて餌をねだるのはレクリエーションの一…

ある雪道のできごと

普段は道が広いばかりが自慢の北海道だが、大雪の後は途端に車道も歩道も狭くなる。 たまたま小学生の列にでも行きあえば、いったん車道に出て追い抜きをかけるというわけにもいかず、一切真面目に歩く気のない彼らの後ろをトボトボとついて歩くことになる。…