晴天の霹靂

上品な歩き方とかを習得できないまま人生を折り返すとは

暑いのでタロット遊び

あまりにも暑くて日中の数時間はひたすら冷却枕に寄りかかって朦朧としている。集中力の低下でもはや本も読めないので、ひさしぶりにタロットカードを出してきて眺めたりする。

買ったきりだいぶ長い間放置していたものだけど、図像の中にどれだけ多くのものを盛り込めるかと練られてきた長い時間の産物だから綴られていない本としてぼーっと観てるのには抜群に面白い。

 

てんを切って一枚めくると……と書いたところで「てんをきる」の話をしたくなったのでちょっと脱線する。どうも「てんをきる」が北海道外の人にはあまり通じないのではないかという疑惑を持ち始めた最近なのだけど、私の感覚でいうと「てんを切る」を言い換える適切な言葉はない。

てんを切るという言葉がなくてもカードを扱う人は使う前にてんきってるに決まってるのだから、その状態はどうやって言い表すのだろうか、と思ってタロットをやっている人の動画なんかを観るに、どうも「シャッフルする」などと、つまり外来語なのだ。なんと、日本語では北海道にしか存在しない言葉なのか?

しかも「シャッフルする」というのはカードを一面に広げて混ぜあわせる状態なども含めてとにかくランダムな状態にすることを言っているように見えるのだが、私が思う「てんをきる」はカードを左手の中に収めて、右手で一部抜き取ってしゃっしゃっと数枚ずつ上に乗せていく形で混ぜ合わせるスタイルだ。てんを切るとしかいいようがない。

 

すなわち、てんを切って一枚めくると「恋人」というカードが出る。

なるほど、異質なものと異質なものが出会って統合。最近みた映画の話である。

子どものころから「天使が見える」などと言い出すものだから友達がいなくなった女子と、あまりにもオカルトに傾倒しすぎて孤独だった男子が出会い、お互いにピンと来て結婚。最終的に下手なエルビス・プレスリーのモノマネでも悪魔祓いができるくらいまで最強の結合が出来上がった。細かい話しをしていくとある種のペテン師であることは間違いないので色々と問題もあるのだろうけど、そのへんの胡散臭さまで含めて実に感動的な錬金術であることは間違いないのだ。

「『恋人』かあ。コレは、最近観たアレだな」

などということを考えていると、思考能力が落ちているときでも結構楽しく遊べる。

 

 

「このテーマとこのジャンルなのにこの感動があるのっ?」という角度がすごい死霊館エンフィールド事件。出会うことで強くなる人たちの話しとなれば、やはり『恋人』でよいのではないか。