晴天の霹靂

上品な歩き方とかを習得できないまま人生を折り返すとは

一夜明けて世界は大変なことに

朝からしきりに猫が私を起こしにくる。 腹の上に乗ってめーめー鳴くので、ここで負けてはならじと猫ごと布団を顔の上までひっぱりあげ、すっぽり隠れて惰眠を貪る。敵もさる者ひっかくもの、前足を器用に使って顔の上の布団を剥ぎにきたにはさすがに笑いを禁…

季節の変わり目に猫は

ミズナラの下の秋晴れのベンチに座っていたら、横からさっと風が吹き抜けて膝の上にどんぐりがひとつダイブしてきた。 ミズナラはほとんどの実に虫が卵を生んでいて、暖かいと出てきてしまうので本当は持ち帰らないほうがいいのだけど、わざわざ私の膝をめが…

タチアオイの季節

タチアオイが咲くと毎年「うん、タチアオイだな」とかなり強く意識するのは、たぶんちょうど目線くらいの高さまで育って正面からこちらを見てくるので、なんとなく人に近い個性を持っていそうな気がするせいだろうと思う。 ああ、そっかそっか、タチアオイ咲…

百人一首の影に黒猫

NHKでときどきやってる『ネコメンタリー』という番組に、ピーター・マクミランさんが出ていた。 www.nhk.jp 最初「誰だっけ?」と思ったのだが、よく考えてみたら今年の年初からだいたい100日くらいかけて百人一首を毎日一首ずつ読んでいたときに参照した…

良い陽気になると

野菜直売所でルバーブが売っているのを見つけたので買ってきてジャムにしてみた。 ずっと昔お菓子づくりの本ではじめてみかけて 「あんなフキみたいな見た目のものを甘くするというのはどういう食べ物なんだろう」と興味津々だったものだが、買ってきてかじ…

猫ちゃん目線ジェネシス~動画の夜明け

最近の動画編集ソフトがどんな感じになってるのか知りたかったこともあって、うちの子の動画編集を手伝いました。 www.youtube.com どれがいいのか全然わからなかったのでPowerDirector 365というソフトを試しに使ってみたんですが、自動書き起こしとか自動…

花冷えの街

数日前にやっと「今年最初の桜一輪みつけた」と思っていたものが、気がつけばその木がちゃんと桜らしい色になっている。 季節外れのぽかぽか陽気になったあとでまた急に気温が下がっていた中、グズグズ言ってる人間をよそに、桜は桜で頑張って三分咲きくらい…

わが袖は ~石に寄せる恋

今年は百人一首を毎朝ひとつずつ読んでいる。 正月を少し過ぎたあたりから始めて、なんだかんだ忙しくて読めない日があったとしても桜が咲く前には百首読み終わるだろうという見当で始めた。 北国の桜はまだ見かけないが、全国的にはもう散り終えた地域の多…

『リングサイド』~ちょっぴりプロレスが染みるとき

2年くらい前に話題になったときに買ったまままだ読んでいなかった台湾小説を引っ張り出して読む。 リングサイド 作者:林育徳 小学館 Amazon なによりも表紙が素晴らしくて買ってしまったのだ。ええと、三沢と。誰だったかしら、……長州? 以前にも、心当たり…

かわいい猫も痛いのか

眠るときはいつも左を向いて、抱き枕にチョークスリーパーの姿勢でKindleを読みながら寝る。 読書に夢中になっていると黒猫がのっそりとやってきて、横向きの私の上にしっくり香箱を組む。仰向けの人間に乗る猫というのはまま見かけるが、横向きの人間の体側…

おや、風邪ですか。

黒猫が窓辺でくしゃみをする。 おや、風邪ですか。と声をかければ、猫は振りむきもせず屋根から落ちる雪解けの雫をいっしんに見つめている。 真っ黒な毛並みの日の当たるところはうっすら茶色く光り、どっしり座った下半身とわずかな肩甲骨のデコボコがかわ…

猫を暖める冬

気象情報を見るにそれほど極端な気温の低さでもないのにやけに寒すぎる気がする、と思っていたら今年は階下が空き部屋であることが理由なのかもしれない。階下に住人が居ないというのは気を使わないので楽なことではあるけれど、暖房を使って我が家の床を温…

冬の寝る時三種の神器 ~読書端末、体にフィットするソファ、骨盤職人

無印良品の体にフィットするソファは、使い込んでへたってくると、座るというよりはむしろ寝る前に本を読むのにちょうどいい具合になる。 無印良品 体にフィットするソファ 無地 ・セット・小・綿デニム/ネイビー 幅45×奥行45×高さ33cm 44214930 無印良品 Am…

今年一番の寒気、初雪の猫

日差しが良いのでてっきり暖かいのかと思って外に出たら、何事かと思うほど寒かった。あとで知ったことには早朝に初雪が降り、今日は今年一番の冷え込みだったのだという。 近くの農産物直売所に行く。 採れたてのはちみつを買い、見慣れない種類のかぼちゃ…

こたつと猫と熱い紅茶と

ずいぶん急に気温が下がったので外を歩くだけでもなんとなく勝手の違う疲れ方をするようになった。帰宅するなりバタバタとお湯を沸かして大急ぎでティーパックの紅茶を淹れ、近所の直売所で買ったはちみつをひと匙溶かす。猫舌の上を用心深くそろそろと通過…

猫をこねる人

突然、猫が大騒ぎして 「こっち来てみって。すごいから。いいから早く」 と、わざざわざ小走りで呼びにくるので用事を置いて黙ってついていくと、猫は隣の部屋まで急ぎ駆け込み、秋らしい角度で差し込んでくる柔らかいひだまりの中に唐突にばたっと倒れる。 …

もうちょっと寒くなったらまた一緒に寝ようねえ

リップクリームを買った。 どうせ、カバンにひとつ、洗面台にひとつ、コートのポッケにひとつ、というような運用になるので、見慣れた安いやつの2本入りにした。 正しくはなんという商品なのか気にしたこともないが、白と緑でハッカの匂いのする、どこにで…

放熱の苦手な俺とお前とあいつの話

連日の猛暑で、猫は天袋にある避難小屋から出てこない。 寝てばかりいるのでたまに心配になるが、無駄に起きているよりは横になって筋肉を使わずにいるほうが発熱を抑えられるぶんやり過ごしやすいのは、飼い主のほうでも事情が同じだ。 深夜になって、部屋…

猛暑と読書と猫と

今年の夏がいかに暑いかという指標は人それぞれだと思うが、私はついに水風呂の中で『シャイニング』上下巻を読み切ってしまった。 純粋に、水風呂の中でだけ読んでいた小説で、読み切ろうとも思っていなかったわけだが、いつまで経ってもあまりにも暑く、水…

連続真夏日記録34日目

北国育ちゆえ「お盆過ぎたら秋」と思って生きてきたものだけど、今年はお盆過ぎて連続真夏日記録が34日目になったらしい。 何十年も前のことを言っても詮無いが、子どもの頃は30度超えると物珍しくてテンション上がったものなのだ。 そして私が住んでい…

アレクサ、買い物リストにセミ

普段、買い物メモはアレクサを使っている。 なにか日用品がなくなったときに都度スピーカーに向かって 「アレクサ、買い物リストに◯◯!」 と叫んでおけば、店でスマホのアレクサアプリを開くだけで確認できるので大変使い勝手が良い。 気になるのはここ数日…

冷やしちゅーる、断られました

あんまり暑いのでこの夏は「ぬるめの水風呂」に良く入っている。 しばし水風呂に浸かったあとで、夏の風に吹かれて外を歩くと完全にプールの帰りの気分がするというのは、興味深い今年の発見。 プールって塩素の匂いがトリガーで想起される体験とばかり思っ…

ある猛暑の日

家電量販店に行ったので、なんとなくぐるりと見て回ったらいかにも不自然に2,3列、ほぼ空っぽの陳列棚がある。 こんなお盆時期に棚を空にするような商品入れ替えなどするものかね、と思ってジロジロ見ていたら、そこはどうやら扇風機のコーナーで、全部売…

夏の夜風の通り道

ここ数日は最高気温も30度を下回っており、全国的にみれば「涼しくていいわねえ」のジャンルになるはずの北海道であるが、お言葉ですが私は暑い。 今年は、気象庁発表の気温と体感にずいぶん差がある感じがするのが不思議なのだけど、下の階が現在空き部屋…

夜のベランダを巡る攻防

夏の駆け出しというのは、ダルい。 人間、ひとたび大人になってしまうと、年間ほぼ切れ目なく「季節のせいでダルい」というようなことを言い続けるため、いつなら体調が良い、というようなこともないのだが、それはさておき、身体が暑さに慣れていない季節が…

猫と夏の日々

こたつ布団と下敷きを洗う。 6月の末にもなって、というところであるが「温まる」という機能を使わなくなったあとも、なんとなく布がひらひらした状態になっていることは猫にとって大事なことで、カーテンやら、こたつ布団の陰から 「猫どーこだっ?」 とラ…

猫と破壊力の午後

「あっ、猫だーっ」 などと窓の外からにぎやかな声が聞こえる。 「猫」と聞くとこちらも気になってナンダナンダとベランダに出る。 私の住んでいる住宅の敷地と公道との境界に柵があり、その柵にぶら下がるようにして小学生が数人、公道側から敷地内のにある…

普通に猫と喋る時

近頃うっかりしていると、You Tubeに畑正憲氏の動画がよく表示される。 昔のテレビの切り抜きだったりするので、ずいぶん画質は良くないが、それでもついつい目がいく狂気の絵面だ。 ヒグマの子と素手で戦っていたり、アナコンダに締められてボキボキ鳴って…

プランターに猫草

気象庁が積雪ゼロを言った途端に、いたるところで場所を取っていた雪の山が本当に、視界からほぼ消えた。 消えたあとからは、数ヶ月かけて雪道のあちこちに撒かれていた滑り止めの砂が現れ出てきて、急激に埃っぽい世界が生まれる。 特有の埃っぽい路肩で、…

カーテンを吊るし、猫を抱く

春分も過ぎたのに、また寒波が来て寒くなった。 朝、暇を持て余してウロウロする猫の気配を感じつつ、布団を出たくないので懸命に寝たふりを決め込んでいたら、しまいに私の身体の上に前足をつき、身を乗り出して必死に鳴き出す。 薄目を開けてそーっと盗み…