我が家には冬の野菜不足に備えて室内で稼働中のプランターがあり、ベビーリーフ、フリルレタス、パセリ、大根の葉っぱ、が植えてある。
ついにキャベツが一玉600円になった、などというニュースに怯えつつ、日々成長を楽しみにして朝な夕なに観察をする日々である。
ところがどういうわけか、元気だったベビーリーフは日を追うごとにみるまにみすぼらしくなっていった。むしり取られた断片が土に落ちているばかりで、ついには食べるべき葉っぱほとんど何もないほどの丸裸になる。
その一方でパセリは、一度の被害にも合わず日々すくすくと育つし、リーフレタスも、たまにいたずらのあとが見られる程度で見た目にも美味しそうな状態を保っている。
大根菜は私が面白がって植えたばかりで、たいして成長していないので「様子見」のステータスであることが見て取れる。
この窃盗事件には、実は大きな物証が残されている。
くっきり残された足跡と容疑者の足形を照会すれば、すぐに犯人の特定はできるはずなのだ。
現行犯での発覚をおそれて、プランター地主が寝ている間ばかり狙う常習性、かつパセリ嫌いであるならばおのずと容疑者の数も絞られ、それほど難しい捜査とはならないはずだ。
しかしまあ、パセリとリーフレタスを私のぶんとして残しておいてくれるのであれば、ベビーリーフは、「天使の分け前」ということにしても良い気もしているのだ。長い冬に新鮮な植物を喜ぶ気持ちは、誰にでもあって当然だからだ。
そしてプランターに残されている足形がちょっとした「お釣り」として機能している点も、結構いろいろくすぐられちゃっているのではある。