晴天の霹靂

びっくりしました

冬の寝る時三種の神器 ~読書端末、体にフィットするソファ、骨盤職人

 

無印良品体にフィットするソファは、使い込んでへたってくると、座るというよりはむしろ寝る前に本を読むのにちょうどいい具合になる。

寝る準備を済ませたら寝床に「体にフィットするソファ」をおいて、そのうえに骨盤職人を載せ、背中をぐりぐりしながら寝るまでKindle端末で読書をする。

そうしている間、猫は腹の上でごろごろ言ってる。本を読みながら手を伸ばして耳のあたりをコリコリ撫でたりすると、向こうは向こうでにじり寄ってきて犬みたいに顔を舐めてみたりする。普段はそういう「いかにも」な甘え方をしないツンデレ猫なのではあるが、寝る前の読書タイムのときは不思議とそういう外聞は気にしないようであり、どうやらこれが私の一番のリラックスタイムであることが猫にもそのまま伝わっているのだ。

 

厄介なのは、読んでいる本がおもしろすぎるときだ。

何回か買い替えてはいるものの、子猫の頃からずっと「体にフィットするソファ」とともに暮らしてきた彼女は、これを自分のものと認識しており、寝る前の僅かな時間飼い主のためにちょっと貸してやってるのは自分の好意だと思っている。だからあまりいつまでも夢中になって私が読書をしていると「もう返して」と断固たる催促をはじめるのだ。

「あっ、ごめんごめん」猫に対してというよりは夜更かしに対して後ろめたい気持ちを持ち始めている私は、言い訳のように即座に「体にフィットするソファ」を頭から外して真横にずらす。私が自分用の枕を置いて寝る、その顔の真横で猫は体にフィットするソファの上に丸くなって、頭を寄せ合って我々は寝ることに決まっているからだ。

所定の位置で「体にフィットするソファ」を独占した猫は満足げに上に乗るとぐるっと体を半回転させてから「の」の字に収まる。その横で、まだ本が面白くてやめられない私は、自分用の低い枕に湯たんぽを載せて高さを出したもののうえに顎を載せて、往生際悪くもうしばらくうつ伏せで読書を続ける。

しかしさすがに姿勢も苦しいし、猫にも悪いし、しぶしぶ読書をやめて電気を消して寝ることになる。

 

そんなある日、朝起きたときに私は衝撃的な発見をする。寝ぼけつつ洗面台で顔を見たときの、顎の先の色がおかしい。「ついに人面瘡がっ?」とまじまじと見て、ようよう思い至った。昨晩、湯たんぽの上に顔を乗せたまま読書しすぎたせいで、顎の先を低温火傷したのだ。いい大人なのに。

 

この件に関しては、解決方法はいくつかある。

1,猫と自分、それぞれのための体にフィットするソファを買う。

2,寝る前に面白すぎる本を読むのを控える。

3,顎先の人面瘡は今後気にしない。

 

 

 

 

Kindle端末、体にフィットするソファ、と並んで睡眠時三種の神器のひとつ『骨盤職人』。なんとなくこれがないと心細い。

 

 

顎先人面瘡系読書。

BL漫画って他にそれほど読んだことがあるわけでもないのでたいして比較もできないのだけど、それにしてもこれは圧倒的に面白かった。男性性の記号みたいな職業、外見の人たちが出てくるんだけど、侵略され感じさせられる肉体を備えていて、その接触によって常に関係性が揺らいでいく。肉体だけど肉体じゃない肉体が本当に面白い。