晴天の霹靂

びっくりしました

花冷えの街

数日前にやっと「今年最初の桜一輪みつけた」と思っていたものが、気がつけばその木がちゃんと桜らしい色になっている。

季節外れのぽかぽか陽気になったあとでまた急に気温が下がっていた中、グズグズ言ってる人間をよそに、桜は桜で頑張って三分咲きくらいまで着実に時計を進めていたのだ。

 

「それにしても、なんか肌寒いよね」

と思う飼い主を尻目に「今年のベランダ活動解禁」と一人で決めた猫は、気温に関わらずベランダの戸を開けてやるまで朝夕の日課を諦めない。

寒くて我慢できなくなるまで、猫は4月の空気の中で目新しい情報を探すのだ。

さむいんですけどー。さむいよー。もう閉めちゃうよー。しぶとく催促を続けていると、突然猫はトトトトトと軽い足音で室内に駆け込んでくる。

「ああ、寒かった」と背中に乗った冷気を通して吐息が漏れている。言わんこっちゃないよ。

 

髪を自分で切るようになってから定期的に内側を刈り上げているのを、慣れからくる不注意で、うっかりバリカンにアタッチメントを付け忘れる。気がつけば右サイドを本物の丸刈りにしてしまった。

「……ん?……あれ?……あっ!!」

くらいのペースでやっと気づいたのだけど、どうせ伸びるし、わざわざ掻き上げない限り人に見えるところでもないし、まあ別に構わないだろう、ということにする。

そうは言っても、ニット帽を被って出掛けても、6ミリで刈り上げてあるところと直で刈り上げてあるのところではずいぶん体感温度が違うにはまた驚いた。

「寒い、寒いっ。でもこの夏はたぶんこの方法でしのげそう」

花冷えに震えつつ、一方で今年もいずれは来るはずである猛暑への算段も同時にはじめている。桜の季節の三寒四温