晴天の霹靂

びっくりしました

凍て星の下に寝る猫黒光り

今シーズン一番の大雪なのだそうで、たしかにたくさん降ったのだ。

それにしても、昨シーズン本当に往来のあちこちで雪に埋まった車が進退窮まって止まっている風景を目にした記憶が強烈なので

「そうは言ってもまだ普通の大雪だな」

という気がしている。

なんでもちょっとずつ慣れるもんである。

 

翌朝のビン・缶・ペットの回収日に備えてベランダに出してある瓶類を玄関に出しておこうと掃出し窓を開けようとするが、凍りついてびくともしない。

力づくで開けようとしてこの寒空の下で窓を壊すわけにもいかないから、次回の回収日まで諦めることになる。

厳冬期はしばしばあることだ。

私がベランダに出ようとしていた気配を察した猫が、自分も出ようと駆け寄ってきてにゃーんと鳴く。

彼女は自分がベランダから侵入しようとしてくる不審者を見張る仕事に従事してるのだと自覚しているので、冬はあまり見回りに出してもらえないことをもともと不満に感じている。

「今日はだめなんだって。開かないの、ほら。見て。ほら」

猫に向かって何度も開けようとする仕草を繰り返してアピールするのだが、「窓が凍りつく」という現象が猫に伝わるかどうかというより、彼女はそういうこと一切を私の責任だと思っているから無駄なのだ。

金曜日には急に4月並の気温になるっていうから、きっとその頃彼女の機嫌もなおるんだろう。

「人間にとっては溜まっていく資源物のほうが深刻なんだけどねえ」

お互いの無理解を嘆きつつ、あっち向いてる背中をちょっと擦ってみたりする。