晴天の霹靂

びっくりしました

『マッドマックス:フュリオサ』 ~前作を好きすぎる自分がちょっとノイズ

『マッドマックス:フュリオサ』観てきましたよ。顔にグリース塗りたくなる系映画。


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ここはひとつ鑑賞前に気合を入れるべきだろうと思ったので過去のマッドマックス3部作を全部見直し、前作フューリーロードのKindle Unlimitedに入っていた制作陣のインタビュー集を読了してやる気まんまんで臨んだのです。

そうやって満を持して『フュリオサ』を見に行ってしまったので、強すぎた思い入れが自分でノイズに感じてしまったという間抜けな感じはちょっとありました。

「うん、面白いけど私はフューリーロードをやや好きすぎかもしれない」

と、観ながらついつい思ってしまった。

 

たいへんおもしろいんですよ。どうみても陽気な脳筋に見えるクリヘムが繊細な感情が出てこようとすると押し込めようとする様子とか笑える中に一抹の哀れがあるし、とにかく優秀すぎるフュリオサの母の執念の追跡も素晴らしい。

それでも戸惑いがあり続けるのは、フュリオサの信念の源泉ってイモータン・ジョーに性的に虐待されてたことだろうと前作を観てすっかり思い込んでいた節があったので、その思い込みに比べるとクリヘムがヴィランとしてちょっと軽かった、ということがあったような気がします。だって全体としては体制に組み込まれた性的搾取の話であることは明らかなのにフュリオサだけなんとなく無事だったというのは、やはりちょっと奇妙な印象を持ってしまう。

 

とはいえ、最後に急に方向性の違った残酷度を出したラストシーンにはだいぶびっくりして「その奇妙なグロさは必要なのかっ?」とちょっと思ったのです。 

帰る道々考えていたら、あの場所で男を強制的に孕ませることが重要なシーンだった、と思いついて、フュリオサがこの後の人生でずっと背負う黒いものの一端が想像つくのでした。

辛いけど、怒ってる女の映画を観るのはいいですね。

 

 

名作すぎたフューリーロード。シャリーズ・セロンとトム・ハーディの野性的な眼差しが最高ってのはもちろんありますが、魅力的なヒーロー、ヒロインがいてそれぞれが自分の人生を生きながら恋仲にならない話ってこんなに爽快か、と思ったもんです。

 

 

四部構成でなかなか家に帰れない作品って最近なんか観たな、と思ったら『ボーは恐れている』でした。「とにかく家に帰れないんだよっ!」という話が非常に心にしみますね。実家に帰るまでに15年とか、20年とか、かかるよねぇ、人生って。