晴天の霹靂

びっくりしました

『ボーはおそれている』~常に最悪のことを考える人あるある

『ボーはおそれている』を観てきました。

いいですね、中年にとって帰省がいかに恐怖かを体感する3時間。あまりにも身につまされるので大爆笑でありました。


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不安のあまり「不眠のせいで朝寝坊したりして」とか「鍵盗まれたりして」とかちょっと嫌なことを考えると全部本当に起こるんだけど、ボーさんは最初から薬物中毒なのでどこからどこまでが現実の世界なのかが観てても全然わからない。

住んでるアパートの一帯は完全に薬物中毒者のスラムで、一歩外に出ると画面の隅々で嫌なことが起こっており、どこで誰が何をやってるのか全然把握しきれない悪魔的祝祭感ががとってもアリ・アスターでありました。嫌楽しい。

しまいには「天井におじさんいたりして」「ママが怪死したりして」とか不安の方向性に謎のクリエイティビティが発揮されてくるところも、気の毒なんだけどちょっとばかりかわいいですね。

 

艱難辛苦を乗り越えて、それでも這々の体で実家にたどり着き、過去のトラウマと母の呪縛の鎖から解き放たれてようやく新たなる人生が始まるのかな、と一瞬思いかけたら、全然そんなことないですし、まったくめでたくない。

しかしながら「誰にとっても帰省は怖いのだ」と思うと、その点に関してはなかなかに心あたたまるところはありました。

返り討ちにあうこともあるので、帰省は用法用量を守って正しく行おう。

 

人類の偉大なる帰省物語オデュッセイアは過去何回も「そろそろ読むかあ」と思ったまま結局読んでいない。そろそろ読むか。