2022年下半期に観た新作映画
7月
ベイビー・ブローカー
是枝監督の作品っていつも端正なので、素人としては「おもしろかったよ」という以外の感想を言うとっかかりがあまりみつけられなくて困る。
是枝監督が韓国で作品を作ったことによって「役者さんも日本より韓国のほうが圧倒的にうまいな」というのが明確化されてたのは興味深かった。
ソー:ラブ&サンダー
「もうMCUシリーズからは足を洗おう」ということはいつも思っているのだけど、劇場行ったらやってたので事故的に観てしまった。
いや、たぶん悪い作品ではないんだろうけど、私にとっては色々と無理がある。そしてギャグが滑りがち。
エルヴィス
ラスベガスに閉じ込められてしまったマネー製造機エルヴィスが悲しくって。
無名で夢と野心のこと以外なにも考えたくないような気分のときでも金と契約のことはちゃんとやろう。
8月
ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
ほとんど観た記憶がなかったので、記録を見返していてちょっと驚いた。
たしかに観てた。恐竜が可愛かったので悪くはなかったと記憶している。
それにしてもスパイダーマンといい、ゴーストバスターズといい、
「何十年前のあの人を連れてきたからありがたいだろ?」
みたいなことをやりすぎるのは年寄りくさいのでそろそろ反省したほうがよいのではないか。
女神の継承
かわいいホラー映画。今年観た中ではこれと『NOPE』が一番印象が強かった。
「みんなが押し付けるから黙って引き受けてきたのに結局全部無駄かよ!」
っていうときの、中年女性の顔が、切なくていい。
NOPE/ノープ
辺縁に置かれた人々にとって見ることと見られることとは何か、というのをこういう絵面で突きつけられたことがなかったので超おもしろかった。
見たあとしばらくキョトンとしてたんだけど、数日がかりで思い出すにつけ、「うむ、あれやっぱりおもしろかったぞ」という機運がどんどん高まり、結果としては2022年に見た映画の中でもっとも印象の強い一本。
9月
激怒
とにかく何にしろ「なるほど、これはこの人にしかできない表現であるな」というものに遭遇すると嬉しい。
なんかやたら怒ってるけど楽しかった。
2022年の視線で見ると「9人のパーティーで男しかいないって不自然だろっ!」ってまず思う。
20年で映画のジェンダー規範も本当に大きく変わったもんだ。
あと、久しぶりに劇場でじっくり見て、何が一番驚いたかって『road of the ring』 じゃなくて『Load of the ring』だったこと。
本当に座席から転がり落ちそうなレベルでびっくりした。
10月
ロッキーVSドラゴ ROCKY IV
ソフト化の予定もないのにわざわざ今再編集したって言うから「ウクライナ戦争を受けて平和協調路線のメッセージを強く打ち出すための作品なんだろうか」と思って観に行ったら
「年を取れば取るほど、ますますポーリーのことが好きになったんだよねえ」というような内容になっていたのでびっくりした。
そこに異論はない。
こんなに暗い話だったけか、という戸惑いを感じはじめた三部作二作目。
家の画面で見てると細部が潰れて退屈しちゃう可能性もあるんだけど、「IMAXやっぱりいいわー。さすがだわー」というようなことを思ってご機嫌だった。
RRR
絵面が大事件。とりあえず色々言ってないでみんな観に行っとけばいいんじゃないですか。
「だいたいのことはイギリスが悪い」というのと、「人がいっぱい居る場所は危険」という、ふたつの教訓は大きい。
11月
登場の瞬間からあんなにかっこよかった浪人のヴィゴ・モーテンセンが王位について、ベタベタの髪がサラサラヘアーになった途端、誰が誰やら区別がつかないくらい「普通の容姿の人」になったのはびっくりしたもんです。
やっぱり王とか、なるもんじゃないな。
いやあ、カッコよかったんだけどねえ。
ブラックパンサー、嫌いじゃないんだけどねえ。
ザ・メニュー
「他に観たい上映作品がないから」という理由でうっかり観たら、すごく面白いという今年一番のサプライズ。
うっかりヒットは映画館で見る醍醐味のひとつであります。
12月
話の内容はあんまり理解していないものの「おー、動いてる動いてる!」という感動で結構楽しめた。
今さら映画が動くということに感動する日が来ようとは。