晴天の霹靂

上品な歩き方とかを習得できないまま人生を折り返すとは

『フェラーリ』 ~社長vsクマ

フェラーリ』観てきましたよ。

アダム・ドライバーがかっこいいには驚いた。


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素っ頓狂な自慢話をすると、わたくし、かれこれもう15年以上はF1を観続けているんですよね。

ずっと観てたらいつか分かるようになって面白くなってくるんだろうと思って観ていたらいつまで経っても分かるようにも面白くもならなくて、観始めたころとあんまり感想が変わらないんです。

「どうやら先にゴールした方が勝ちらしく見えるけど、そうじゃないことも結構あるようだ」というくらいの、ぼんやりした認識からほぼ理解が深まらない。10年経ったくらいから「10年続けても関心が深まらないって逆にすごくないか」という気分になって来て、もはや辞め時を見失って今日に至ります。レース中、画面のどのあたりを観ていたらいいのか全然わからないんですよねえ。

 

そんな感じで観てきた『フェラーリ

こちとら赤い車は全部フェラーリだと思っているものだから「なんでフェラーリだけでレースしてるんだろう?」と途中まで思っておりまして、中盤ぼつぼつリタイア組とか出てきはじめてから「フェラーリ以外の車も赤いんだっ!」と合点したのでした。となると、話の半分くらいわからないで観ていた可能性があって恐ろしいことですね。

 

じゃあ、つまらないかというと全然そんなことはなくて、とりあえずアダム・ドライバーが映っているとまず面白い。威丈高で、マッチョで、身なりが良くて、とりあえず近くにいたら絶対声を掛けにくいであろう”社長感”がすごいんですが、アップになるとなんとなくユーモラスな表情をいつもしています。

対する、不遇の妻ペネロペ・クルスも、目の下のクマが素晴らしい。『ターミネーター2』のサラ・コナーと双璧をなすくらい、感情の豊かなクマを押し出しておりまして、やはり歳をとるとクマの映える顔にはなっておきたいもんだな、と思いました。

このパッと見は薄幸そうでいて実は影でヨヨヨと泣いていたりはしないペネロペ・クルスが最後アダム・ドライバーとの最終決戦?和解?刺し違え?なんだかわからない謎の怖いシーンで「あなたの良いところはウィットとユーモアだった」というようなことを言うんです。ああ良いセリフだなあ、と思いました。実際アダム・ドライバーが本当にずっとそう見えているんです。この人、こんなだけど妙にウィットとユーモア感じるな、と「私も、そう思っていたよ!」と、ペネロペ・クルスのクマに向かって共感を叫んだものです。役者の表現力おそるべし。

 

ずっとF1を観てるとちょっと別格に感じられるフェラーリの人気って、伝統があるとか、早い、とか、赤いとか、かっこいいとか、まあそういうところなのかなって思っていたんですが、今回観てもう一個思ったのは、イタリア人が「FERRARI」って言うときのRが2つ重なったところ、発音して気持ちがいいんじゃないかしら、ってことでした。声に出して読みたいイタリア語、フェラーリってことなんではあるまいか、と、「フェラーリフェラーリ」と巻き舌で連呼する少年たちを観ながら思ったのでありました。