晴天の霹靂

びっくりしました

2022年上半期に観た新作映画振り返り

 

1月

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

思い起こせば、記録的な豪雪のために完全に都市機能が停止してる中、なぜかわざわざ見に行った映画。

映画の内容は露骨に「昔からの観客を驚かせにかかってくる」というネタバレ厳禁サプライズものではあったものの、

そんなことより「今日このあと家まで無事帰れるんだろうか?」という己のノーウェイホームのほうが気になって仕方なく、映画の印象は薄くならざるを得なかった。

 

ハウス・オブ・グッチ

映画はちょっと長かったけど、思い出してみればレディ・ガガが良かった。

手練手管でのし上がったのはいいけど、スキー場で自分だけスキーができないのでナチュラルボーン金持ち連中からのけものにされるところとかが、やるせなくて好き。

文化とか教養とかで差別するってことは、誰でもどんな社会でも絶対やるのよね。

あとアダム・ドライバーが妻のガガに「プレゼントを金券でするようになったらもう関係は終わってる」っていうような名セリフを吐くシーンがあり、政府がクーポンで給付金を配ると言い出すたびに思い出していた2022年だったのである。

 

2月

ゴーストバスターズ/アフターライフ

マッケンナ・グレイスが良かったり、子どもキャラクターは良かったり、ダン・エイクロイドが出てきてびっくりしたり。

いいところは色々あって楽しく観てはいたんだけど、いかんせん全体としては老人性ノスタルジーの責めを免れないところはあった。

 

エスト・サイド・ストーリー

ミュージカル映画として良く出来てるのみならず、「なるほどこういう話だったのかっ」という発見ができて大変感激だった。

作り直してくれてありがとう映画。

マリアが自分のドレスが全然気に入らないところにベルトを付けてみたら「まあ、こんなに素敵になったわ!」っていうシーンがあるんだけど、ビフォーアフター比べて本当によくなったのかどうかが私には全然判別つかなかったのが今でも気になってるので、もう一回確認したい。

 

3月

ナイル殺人事件

観光映画。ナイルって響きがいいじゃない。

これを機会に古い版の映画とか原作小説とかを読みなおしたりしてしばらく楽しく遊んでいた。

 

5月

シン・ウルトラマン

冒頭の五分くらいと、あといくつかのシーンがすごく良かったので、もうそれで良しということでいいのではあるまいか。

私の譲歩しがたいポイントとしては、職場のシーンは隅々の人までちゃんと仕事をさせてほしい。

大のおとながずらっと並んで座ってただパソコンの画面を見てるのは演技とは言わないのではないか。

 

トップガン・マーヴェリック

「今年見た映画の中で何が一番よかった?」って趣味も目的もよくわからない人から雑に聞かれたらとりあえずこれを答えておけば大丈夫な一本。

職場のシーンが隅々の人までちゃんと仕事をしているところが素敵。

あと還暦のトムクルが最初から最後までずっと本気で怒られ続けてるところがいい。

ガチ怒られて様になる60歳はそう居ない。

 

6月

東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B

SIDE:A

民選手や、コロナで大会が延期になった間に出産を経た女子選手、子どもなどに注目する視線は「なるほど、これが河瀨直美監督のまなざしですか」という納得はあった一方、オリンピック映画なのにスポーツがどんな具合になってるのかが全然わからないので観た後の印象はびっくりするほど掴みどころがなかった。

「きっとSIDE:Bを見ればすべてスッキリするに違いない!」

と自らを納得させつつ劇場を後にした思い出。

 

SIDE:B

いろいろとだいぶおもしろかった。

並み居るおじさんたちの不自然などアップに露骨な悪意を感じるのではあるが、それにしては立ち位置がそのおじさんたちの背後にぴったり寄り添って完全に「そっち側」の視線になっているところが興味深い。

電通がこんなことになってる今思い出すと、開会式の責任者を降ろされた野村萬斎が記者会見で元電通のクリエイティブディレクターをゴミを見る視線でみつめている瞬間をことさら抜いた画角が、本当に本当に味わい深い。

監督がどこまで意図してるのかわからないが、うっかりいい映画。