晴天の霹靂

びっくりしました

震える子犬、丸まる家猫

冬の入口で、まだ行く人達も雪に慣れきっていない横断歩道。

信号待ちをしていたら目の前におもちゃのように小さな犬がいる。

「犬って猫より小さいよなあ」

と感心して見てる間に、猛烈な勢いで子犬が震え出した。

 

……えっ?あれ?なんかこの子めちゃめちゃ震えてますけどっ!

飼い主に報告したほうがいいのだろうか、という考えがちょっと脳裏をよぎった途端、傍らでリードを手にした男性はテレパシーを受信したかのように子犬を抱き上げ、わしゃわしゃと撫で始めた。

「そうか。ここから家まで抱っこ移動か、それは暖かくていいなあ」

と、こちらも一安心したところで歩行者信号が青に変わる。

すると驚いたことに男性は子犬をまた雪道の上に下ろした。

 

いやいや、だってこの子めっちゃ寒がってましたやん。

あまりの対応に信号を渡るのも忘れてみていたら、犬も人も、何事もなかったようにふたり仲良くならんで楽しげに散歩を続行し始めた。

子犬は猛烈に震えていたことなどどこ吹く風で

「お父さん、お父さん、お父さん。お散歩楽しいねえ」

と言いながら素足で雪の上を得意げに歩いている。

なにそれ、犬って使い捨てカイロみたいにこするとすぐ温まる仕組みついてるの?

 

うちの猫がずいぶん寒がりであることに比べると、あんなに小さい動物が体温を保ちながら雪の中を平気で散歩できるのはずいぶん不思議なことに思える。

哺乳類としてああいうこと可能ならば、なぜうちの猫は散歩に付き合ってくれないのか。

猫飼うのも楽しいけど、犬を飼うのも楽しいんだろうな。

何より、どんなに寒くて億劫な日でも散歩に出る一番の口実になるものねえ。

そう思いながら凍った横断歩道を用心しいしいついていく。