『ヴァチカンのエクソシスト』を観てきました。
爆笑バディ系アクション映画で、両隣に人が居なかったのをいいことに「なんでだよ」と声を出して突っ込むところ複数箇所。
たいへんに朗らかなホラー映画でした。
ヴァチカンの偉い悪魔祓い師がラッセル・クロウなんです。
上司から「スペインにやばい案件があるから祓ってきて」と頼まれて、ひとり現地へ向かいます。
フェラーリのステッカーを貼った可愛いベスパに乗ってヴァチカンからスペインまで自走で。
……なんでだよ。
現場はスペインのすごく古い修道院跡。
着いたらまず庭をなんとなくウロウロしはじめたので「悪魔の痕跡でも探してるのかしら?」と見ていましたら、いきなり脇を拭きはじめるんですね。
しかも、どうやら持参の聖水で。
実際居るかどうかわからない悪魔のために少々の水を取っておくよりは、これから会う自分のクライアントを不快にさせないために汗を拭くことに使ったというのはまあ現実的な判断なのかもしれません。
あるいはさすがにヴァチカンからひた走ってきたせいで脇から悪魔の匂いがしていたのか。
どっちにしてもエクソシズム映画としては突っ込まざるを得ない「なんでだよ」描写。
いきなり野暮用で聖水を使ったということは「悪魔祓いのときはどうするんだろう」と、フリードキンから教わったエクソシズムをそのまま信じているこちらとしては心配になります。
ところがさすがのラッセル・クロウ、聖水とかじゃなくてわりと腕力でいろんなことを解決していくのでありました。どすこい。
あと意外と悪魔がニコニコしながら良く喋ってくれてかわいいな、とか。
ラッセルクロウが法衣からちらっと見える用に履いている真っ赤なソックスがおしゃれだな、とか。
あんなに(体力方面で)頑張っていたラッセルクロウでさえ、チープなマリア像が出現した瞬間にうっかりひざまずいちゃったりするんだから信仰って結構弱点だよな、とか。
いちいちいろんな感想を持つたびに小声で「なんでだよ」と声に出ます。
結果、ものすごく面白くて帰り道は軽くスキップする感じでウキウキルンルン帰宅。
まさかこんな映画だったとはね。
エクソシズムの教科書、ウィリアム・フリードキンの『エクソシスト』
MeToo運動が起こったあとで改めて観ると女優の娘に性的な虐待をして「悪魔憑き」の状態に至らしめるユダヤ系映画監督はワインスタインがモデルであるようにしか見えない。
1973年にはみんな知っていたのに2017年まで誰も告発できなかったことを考えると、現在我が国で起こっているジャニーズ事務所の問題なども改めて考えこむところです。「見えてないフリ」を決め込むことの、いかにたやすいことか。