晴天の霹靂

びっくりしました

全展望監視タワーの午後

今週のお題「わたしの部屋」

 

コロナも怖いがリヴァイアサンも怖い、という旨の論考が日々更新される昨今の世界状況の中、一方では部屋にいて読書などしてるぶんには後ろめたいほど平和な日常でもある。

 

しかし、そんな一見穏やかな我が家でも実は転居してきた最初からパノプティコン(全展望監視システム)が設置されている。

 

 部屋で一番高いところ、もっとも多方面を見渡すことができる場所に、厳かに監視タワーが置かれており、おかげで私は部屋のどこで何をしていてもいつもなんとなく目線を感じている。

 

看守は、夜の森のフクロウのようにただ執念深く座ってこちらを見ているだけのときもあるし、まるで油断してなんら注意を向けていないときもある。

あるいは視線の届かない奥の方に潜んで息を凝らしているときもある。

 

ただその気配によって、より多くの餌を与えたくなるように、より多く遊びたくなるように、爪切りの事などすっかり忘れてしまうように、出かけても早く帰ってくるように、無言の威圧で人の行動を変えようとしてくるのである。

 

そして案外と不思議なことに、見るほうも見られる方も、その状況にだんだんと慣れていく。

つまりまあ、この部屋も何かの縮図なのかね、君たち?

 

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 パノプティコンで寝る看守。

収容者の視線からは見えないが、看守は二人いる。

 

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これが一体どういう体勢なのかは私にもよくわからない。

 

 

 

リヴァイアサン〈1〉 (岩波文庫)

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監獄の誕生 ― 監視と処罰

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