晴天の霹靂

びっくりしました

2022-01-01から1年間の記事一覧

プルースト、まさかの行き止まり。

やたらと長いので有名な小説を 「ためしに最後まで読もうとしてみたら、どれくらいの時間がかかって、その間にどれくらいの出来事がおこるんだろう」 という好奇心から読みはじめるとする。 読んでみると意外や意外、超面白くて(特に人の悪口を書くときに露…

季節の代わり目の罠

冬の間しまいこんでいた扇風機を出してきて、蒸し暑く感じる日に短時間つけたりつけなかったりするくらいの季節である。 「ちょっとだけつけておくか」 なんて言って、部屋の隅、壁コンセントのあたりに扇風機を置いたまま電源を入れる。 真後ろから風があた…

ヤクルト1000がなければヤクルト1000以外のものを飲めばいいじゃない

どういうわけだかヤクルト1000の人気がやたらとすごいというので、走って見に行ってみたら実際、どこのスーパーもこんな感じになっているではないですか。 「へえ、なになに。なんでそんなに売れてるの」 なんてwebサイトを見てるとヤクルト1000はさておいて…

プルーストにおける「この人今何歳なのか問題」

すこしひんやりする雨上がりにベランダをあけると、眼の前には朝顔のプランターがある。 そのわずかばかりの四角い土の中から、生命力を急激に取り込みつつある生態系の匂いが鼻をついてまっすぐやってきた。 しゃがみ込んでつるの伸び具合を確認しながら思…

外界にも、お手洗いにも季節あり

お手洗いで使ってる俳句日めくりカレンダーを非常に気に入っており、今年で二年目です。 365日分、季節ごとの俳句、季語、二十四節気七十二候、月齢なんかがのっていて、毎日ぼんやり眺めては、それでも地球が回っていることを噛みしめるのが本当に楽しいお…

『東京オリンピック』~市川崑も賛否両論だったらしい

図らずも今月はオリンピック映画月間であるらしいということで、せっかくだから見ておくことにした、1964年市川崑監督の『東京オリンピック』 膨大な予算をかけてわざわざ残してあるだけあって、やっぱり振り返って観ると随所面白いもんですね。 www.youtube…

自転車が盗まれたかもしれない悲しい話

「自転車なくなちゃってさ」 「えっ、盗難?」 「そうだと思うんだけどね。駐輪場において用事足して戻ったら見つからないんだけど。最近私も色々あってちょっとぼんやりしてるから、置いた場所がわからなくなった可能性もゼロではない」 「もう一回探しに行…

『東京2020オリンピック SIDE:A』~アスリートより先におじさん登場

こんなに「気がすすまない」と思いながら映画館へ行くこともなかなか例がないのですが、行ってきました『東京2020オリンピック SIDE:A』 なぜって、ウカウカしてると2030年には地元にオリンピックが来かねない危うい都市に住んでいるからです。 どう考えてあ…

そして管理会社との静かなる闘い

寒くて薄暗い事務室でお話をしてる合間にも、いろんな人がやってくる。 ご近所にお住まいという老婦人が、野原でつんだような実に慎ましい花束をおいていったのを、備前焼の花瓶に移しながら小柄な管理人さんが言った。 「大きなホテルなんかには必ず花が活…

黙々と毛づくろいをするわたし

私の感覚ではつい最近のことだが、考えてみればもう8年も前のことだ。 初めての猫を飼い始めた時。 手のひらに乗るくらい小さくて、人を困らせることと笑わせることと心配させることしかしない、せわしない生き物なのにびっくりした。 こちらもはじめてだか…

超多忙不動産の若手社員 ~滝のある部屋

「滅多なことは口にできない」 と、男は言った。不動産管理会社若手社員である。 「滅多なことは口にできない」 電話口で聞いていた私もびっくりしてオウム返しする。 そのボキャブラリーがすぐ出てくる引き出しにひょいと入ってるの、すごいな。 今週中に進…

『デンジャー・ゾーン』~今日も危険区域を陽気に生き抜こう

『トップガン マーヴェリック』の大ヒットを記念してでしょうか、1986年のトップガンの冒頭映像がYou Tubeで公開されております。 「うわっ、やめなさい、条件反射で人の感情を揺さぶる特殊映像をむやみに見せるんじゃありません」 と思いながらも、最初の9…

鎌倉幕府成立におけるメフィラス史観

やんちゃな登場人物がだいたい成熟するか死ぬかしてしまったので展開が地味になってきた大河ドラマですが、私が思うに『シン・ウルトラマン』を通った人と通ってない人とでは違うドラマを観ておりますよね。 例のあの人が気になって仕方ない現象です。 そう…

少し気温が下がった朝には

なにしろ、記念すべき朝ではあった。 なんとなく気配を感じて目をさますと、布団の中、脚の触れるあたりにすべすべして温かで柔らかな物質がくったり身を委ねている。 「なぜ猫が」 猫はいつも私と一緒に寝るが、決して布団の中には入ってこない。 必ず腹の…

『トップガン マーヴェリック』~軽薄老害応援映画へようこそ

トップガンの新作見てきました。 超おもしろかった。 www.youtube.com これに先立って1986年版も見返して、その青春描写の軽薄さに改めて腰を抜かしたもんでありますが、アラ還になったトム・クルーズが相変わらず軽薄であることの立派さですよね。 二十代、…

高級爪切りSUWADA ~地味にQOLがだいぶあがる

普通に暮らしていると見落としがちなくらい地味なものではあるが、導入すると生活の質がぐっと上昇するアイテムというものが、世の中にはあるものです。 高級爪切りとか。 SUWADA スワダ つめ切り クラシックL 諏訪田 SUWADA Amazon スーパーでも買える安い…

オンクルアンシのチョコレート缶 ~未来はバーチャル狂気でできていたか?

「ああ、こんな雑貨屋さんがあるのか」 とふらっと入った地下街のお店で、かわいいチョコレートの缶がある。 いかにも私好みの、古風なデザインのフランス製だ。 連休明けくらいから、ずっとコットンの糸を編んだりほどいたり編んだりほどいたりしている。 …

バンクシー展 ~足が早そうな人にはむやみに感心するクセがある

バンクシー展見てきました。 もはや「バンクシーを見に行く」というのがどういうことなのか、考えだすとなんだかわからない。 ステンシルにうまいもへたもないだろうよ、とか グラフィティの写真を見に行くならネットで見てれば足りるんじゃないか、とか ジ…

空気清浄機三台目 ~もはや全自動掃除機

我が家に三台目の空気清浄機がやってきた。 「”空気”が”清浄”って全体的に気の持ちようの話だなっ!」 と思っていたところから、あっという間にここまで数が増えるとは思わなかったもんだ。 日立 空気清浄機 クリエア ~15畳 床置き・卓上兼用タイプ PM2.5対…

良かれと思って無駄なこと

現状は、皆が私の仕事ぶりを率直に評価してくれた結果だと言える。 ベランダのプランターで朝顔の種は、ひとつまたひとつと芽を出しかわいい双葉を伸ばし初めている。 その隣のプランターでは猫草がふさふさと茂り、伸びててきたところを狙って猫が日々刈り…

『ナイトメア・アリー』~ケイト・ブランシェット怖すぎ問題

絶妙に変なタイミングで『ナイトメアアリー』鑑賞しました(劇場では見そびれた) www.youtube.com やりすぎてる時のケイト・ブランシェットって大好きだけど 「……リリス博士ってこういう人だっけ?」 と思いながらみたもんですね。 そんな目つきの人に拳銃…

スワンの結婚、朝顔の一日目

プランターを覗き込んだら、今年最初の小さな芽がひとつ出ている。 朝顔の種を撒いたプランターなんだから朝顔の芽なのだろうとは思うが、昨シーズン面白がって雑にばらまいた果物か野菜の種である可能性も否めない。 しかし、去年見た朝顔の芽もこんなふう…

小鳥のマグを買う理由

そろそろ卵を買っておこうと思ってスーパーへいくと思っていたより40円ほども値段が高い。 うーむ、いつの間にこんな値段になったものか? と、しばし立ち尽くしていると、すぐとなりで女性の声がする。 「卵高くなったねえ」 行きがかり上、ほぼ無意識にコ…

『シン・ウルトラマン』~実は何の話だかあんまりわからなかったのではあるが

そんなにウルトラマンに思い入れのある世代ではないので、とりたてて注視してたわけでもないのですが、公開早々「お祭り映画になる予感」をキャッチし、これは遅れてはならじと走って見に行ったのでありました。 久しぶりにほぼ満席の映画館、なんとなく嬉し…

青空サラダバー開店

種をまいてもしばらくウンともスンとも言わなかったものを、ためしに外の日差しに当てたらいきなりにょきにょき伸びだした様子が可愛く、 「門脇麦ちゃん」と名付けてちんまり愛でていたところ、藪から棒に登場した黒い悪魔に猛然と食べられる。 もちろん、…

朝顔を植える

家中を開け放しておいても寒くない季節が来て、猫は楽しそうだ。 ベランダに出て黒い毛に太陽熱を充電することもできるし、日差しに疲れたら部屋に入ってきてブランケットを敷いたふかふかベンチの上で放電してもいい。 あるいはキャットタワーの一番上に昇…

雪柳、黒猫、7年間なかなか寝ないマン

隣家に立派な桜の木があり、連休の訪れとともに今年も見事に咲いたものが、またたく間に終わってしまった。 「咲くも散るもあっという間だな」 と思って見下ろすと、今日は桜の隣に目も疑うほどの雪柳が花盛りになっている。 そうだった。桜の隣のあの目立た…

『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』 ~言及されてない事件のほうがでかくはないか

連休のときは気分を変えるために「普段見ないジャンルの映画」をわざわざ見ることが多く、要するにホラー映画を見たりしがちです。 今年は『死霊館』の最新作をみておりました。 やたらびっくりさせられるとか、びしゃーっとかドパーっとかがなくて、ホラー…

失われかねない時を求めて ~日々、読みたい本もたくさんある中ですが

驚くほど世界がカーネーションだらけになっている週末である。 「母の日って何を贈ったらいいんだろう」 とカーネーションを横目に、一緒にいた友人に聞かれた。 「よく知らないけど我々より上の世代はハズキルーペとか興味津々らしいよ」 というざっくりし…

青缶に生姜飴

何しろ「缶」というものが好きで、なんとなく「みんなも好きでしょ?」とさえ思いこんでいる節があるのだが、当然のこと世の中にみんなが好きなものなどない。 「こんなに愉快なものが視界に入らない人も居るのか」 というシーンに出会うと急に愉快でもある…