晴天の霹靂

びっくりしました

『ナイトメア・アリー』~ケイト・ブランシェット怖すぎ問題

絶妙に変なタイミングで『ナイトメアアリー』鑑賞しました(劇場では見そびれた)


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やりすぎてる時のケイト・ブランシェットって大好きだけど

「……リリス博士ってこういう人だっけ?」

と思いながらみたもんですね。

そんな目つきの人に拳銃もたせたら文脈関係なくやられるに決まってるじゃないの。

大好きなんで全然文句はないですが(むしろありがとう)

 

 

原作小説をちょっと好きになりすぎちゃったので、映画版を見てもきっと物足りないであろうと思いながらおっかなびっくり見たのです。

やっぱり小説のほうがぐっちゃぐちゃでおもしろいなとは思うんですが、しかし映画は映画で非常に良かったです。

 

「生まれてきて、型通りの人生送って、予想よりややしょぼい程度のスケール感で死んでいく」というような凡百の恐怖なら、まあ字面で読んで想像すれば共感は簡単ですが、

「ちょっとうまく行って調子にのっていたらやたら作り込んだセットの中にケイト・ブランシェットが笑って待ち構えている」みたいな豪華絢爛型恐怖ってのは、作って見せて貰わないとこちらの頭蓋骨の中には存在してないので、珍味としてはとっても楽しい。

 

とはいえ、本来は主人公のスタンが、見世物小屋にたどり着いたときは田舎育ちで世間知らずの十代の少年のはずなんですよね。

そこで親切にしてもらった読心術の夫婦に両親を重ねて懐いているうちに、「父を殺し母を寝とる」という、冒頭からとてもわかりやすい運命論なんですが、主役のブラッドリー・クーパーがいくら若々しいとはいえ40代なかば。

 

年上の女性に手ほどきされて戸惑いつつ大人の世界に入っていくはずのシーンが、「行きずりで幸薄い人妻をひっかけた遊び人」にしか見えなかったのはちょっと笑ってしまった。

なんで家出少年がそんなに筋骨隆々なんだ。

 

色々言いたいこともあるとはいえ、満足度は高い映画でした。

見世物小屋」という存在の、暴力的にこちらの価値観を問われてしまうような抗いがたい魅力ね。