晴天の霹靂

びっくりしました

黙々と毛づくろいをするわたし

私の感覚ではつい最近のことだが、考えてみればもう8年も前のことだ。

初めての猫を飼い始めた時。

手のひらに乗るくらい小さくて、人を困らせることと笑わせることと心配させることしかしない、せわしない生き物なのにびっくりした。

 

こちらもはじめてだからどうやって安全を確保したらいいのかわからず、たくさん叱ったりしたのは、今思い出しても胸が痛い。

怒られると、その小さな生き物は決まって毛づくろいを始める。

「そうか気持ちを落ち着けようとしてるんだ」

とわかったときに、ビリビリと心が打たれた。

 

一緒に暮らしていくには圧倒的な体格や力の差があり、だからこの子を怖がらせてはいけない。

「そういうことをすでにわかってる人だけが動物を飼うべし」

という意見もあろうが、それはやっぱり実際に暮らして繋がりの中でしか学べないでもある。

猫のほうだって、急に毛づくろいをしたくなる理由が、自分が動揺してるせいだとは思っていないのだから。

 

そんなことを思い出すのは、せっせとコットンのストールを編みながらだ。

ストールはもう春先にひとつ編んだので、今はさしあったて二枚目を編むつもりはなかった。

それが急に、ただただまっすぐ、頭を使わず、デザインも考えず、ただ単調に同じ作業を繰り返すものが作りたくなって、いきなり編み始めた。

「ああ、これ。あの子の毛づくろいと同じだなあ」

と、手を動かしながら懐かしく思い出す。

 

生活してると急にびっくりさせられることが起こるので

毛づくろいの方法をいくつ持ってるかというのは、人間にとっても猫にとっても大事。