種をまいてもしばらくウンともスンとも言わなかったものを、ためしに外の日差しに当てたらいきなりにょきにょき伸びだした様子が可愛く、
「門脇麦ちゃん」と名付けてちんまり愛でていたところ、藪から棒に登場した黒い悪魔に猛然と食べられる。
もちろん、食べてもらおうと思って買ったものである。
観賞用に植えた朝顔を、発芽した片端から次々食べられてしまうのが目に見えていたので
「他に食べるものがあれば朝顔よりそっちを優先的に食べるものだろうか」
と思って買ってみた猫草キットだ。
無視されるよりは食べてもらうほうが断然うれしいし、いくらかわいいとはいえ、食用のものに名前をつけることこそ倒錯的行為と言える。
ドン引きするほどガツガツ食べにくる君の迷いない生き方が正しい。
太陽のめぐみを、大いに食べて強くなるのだ。