晴天の霹靂

びっくりしました

昔ながらの酸っぱい梅干し 

 

 

咳こそまだ残っているものの、喉の痛みが引いた途端、食事がなんでも美味しくなり、何を食べても美味しくなった途端、

「はっはっはっ、我こそは回復した肉体である」

という確信が天啓のようにやってくる。

なんなら病みつく前よりちょっとリニューアルして健康になっているのではないかという気さえするあたりで、45にもなって厚かましいようではあるが、まだ若くて健康な生命体なのだなあ、と他人事のように感じさえする。

ワクチン接種の副反応のときも思ったことだが、「回復期」って、なんかちょっと旅行中みたいでウキウキしないでもない。

 

それはそれとして、喉の痛みから始まり、かなり激しい咳、目の充血、目やに、耳の痛み、頭痛、微熱、と賑やかな症状が一週間以上に渡って続くなかなかな風邪であった。

近所のお米屋さんで買う時に精米してもらった美味しいお米で作るおかゆがしみじみありがたかった。

しっかり炊けば活動量の多い健康な人にとっても腹持ちがよく、同じ材料で水分さえ増やしていけばどんなに体力が落ちている人でも食べられるお米って超優秀ではないか。

そう思いつつ来る日も来る日も飽きずにおかゆを食べ続けた。

 

そして白粥を食べるには何と言っても、「殺人的に酸っぱい梅干し」が一番良い。

昨今のスーパーでは味のない梅干ししか売っていないので、私も自分で漬けたりしているのだが、この時期は自家製梅干しも底を尽きているのでネットで探して買っている。

塩分が20%程度あって、原材料が「梅、塩」としか書いてないものなら間違いなく、自分でそれらの材料で漬けたものとまったく同じ味がする。

「おーっ、酸っぱい」というレベルではなく「待て待て待て。これ食べ物と違うだろっ!」というくらいのレベルで酸っぱい。

おかゆ一膳くらいでこの梅干し一粒の酸味と塩味を調和するのは完全に不可能で、三膳くらい平らげないことには食べきれないため、食べ方にはいささか工夫を必要とする。

なんとなれば梅干しを3等分してちぎったかけらをのせた小皿を冷蔵庫に保管する、というようないじましいことまでしなければ食べきれないような劇薬でもあるのだが、本当に、炊きたてのおかゆに添えてほぼ無敵の存在感と言える。

飽きもせずに一週間おかゆを食べ続けられたのは本気出してる梅干しのお陰。

 

こんなこともあるから、今年も自分でギッチギチに酸っぱい梅干しを漬けておこう、と心に決めた一週間だった。

(それにしてもなぜスーパーには梅干しの出がらしみたいなのしか売っていないのか)