家の近くのお米屋さんに行って、カウンターに米ぬかがサービスで置いてあるのを見つけた。
清潔で管理の良いお米屋さんで精米したばかりのその米ぬかが、なんとも美味しそうに見えたので、ほとんど何も考えずに咄嗟に一袋貰う。
ぬか床は、発酵させる様子が面白くて何度も作っているが、結局毎日気にかける心の余裕がある時期にしか維持はできないので、作っては辞め、作っては辞め、最近はしばらく作っていなかった。
昨今では新鮮な生糠を手に入れるのはかえって難しく、始めると言ってもスーパーですでに発酵させてある発酵ぬか床を買ったことしかない。
まあ、糠に塩分と水分と旨味を足しながら清潔を保てれば、やがて発酵ぬか床になるんであろう。
そう思って手持ちの小さなタッパーの中に仕込む。
ためしにちょっと舐めてみると、これはこれは、たいそううまい糠なのだ。
捨て漬け用の野菜くずもなかったので、一本だけ余っていたニンジンを入れた。
捨て漬けとはいえ、食べるのだからニンジンの方もに不満はなかろう。
きっと美味しいぬか床ができる道理だが、あとは私のマメさ次第。
図ったわけでもなく、なんとなく唐突に生活の中に新しい要素が持ち込まれたことが、ちょっと楽しい立春の世界。