今年はエンドレスにきゅうりのぬか漬けを食べている夏なので、いきおい我が家には毎日きゅうりがある。
毎日欠かさずきゅうりがあり続け、それらはすべてぬか漬けになっていた7月だったのだ。
そんなある日、近所のお米屋さんにお米を買いがてら米ぬかを貰いにでかけたところ、小さな野菜の直売コーナーが出来ていることに気づく。
そこにあったのは、夏季の菜園恒例の立派すぎるきゅうりである。
立派すぎる上に、曲がりすぎ、それゆえに安すぎるきゅうりを、私は大喜びで手に取った。
右手には精米したての米の袋、左手に新鮮な漬物用糠、そしてフリーダムきゅうり。
一見戦後の闇市のような買い出しの形相ではあるが、あまりにも豊かな食卓の予感にワナワナ震えながら炎天下を踏みしめて汗だく帰宅した。
ぬか床にすら入り切らないほど自由すぎるきゅうりは、軽く冷やして4つに割り味噌とマヨネーズを混ぜたものと一緒に食卓に乗せる。
9分搗きの北海道米、納豆、よく漬かったぬか漬け、そしてパリッパリの歯ごたえのきゅうり、冷たい麦茶。
あー、うめー。きゅうりうめーー。
一口噛むごとに頭蓋骨に響くリズム感の中に、やめられない止まらない快楽。
暑い暑いと文句言うことばかり夢中になってる一方で、しかし紛れもない夏の恵みにうなり声を出す8月の一瞬もある。
きゅうりうますぎる。