晴天の霹靂

びっくりしました

隠れ朝顔の花

今年のベランダ園芸は、去年育てた朝顔の種をより分けて保存しておいたものを、プランターに撒いたおいたのだ。それだけなら良かったのだろうが、そのプランターには、面白がって野菜や果物から集めて乾燥させた、もはやどれがなんだかわからない種も色々適当に撒いてある。

 

「どれか出てくれば面白いだろう」

という、実に雑な発想でそのようなことに相成ったわけだが、結果、やたら丈夫そうで背ばかり伸びる面白みのまったくない謎の草が三本ほどが、プランターを占領してしまった。

まったく正体はわからないながらも、いずれ花が咲くなり実がつくなりすればなんだかわかる日もくるかもしれないと、念のためせっせと水やりをした。

暑い暑い夏が来て、人間はぐったりしてるのに謎の草はますます頑丈そうに空をめがけてまっすぐ伸びていく。

いまや、どこからどうみても立派にただの雑草なのだが、こんなに暑い中乾きの中に放置するわけにもいかずやっぱり水はやり続けた。

9月が来て、とりあえず少ししのぎやすくなってきたある朝、いつもの水やりに出て私は愕然とする。

でかいばかりの謎の雑草に、忽然と朝顔の花が咲いているではないか。

「え、お前、朝顔だったの?」

と一瞬は思ったものだが、いくらなんでも去年の朝顔と何から何まで姿かたちが違いすぎる。

 

よくよく観察すると、小さな小さな朝顔の株が、雑草にすがりついて糸のようなツルをぐんぐんと伸ばし、目に見えないほどほっそりした姿のまま雑草の途中でいきなり花を咲かせたのである。

毎日水をやっていて見過ごすほどの細いツルである。

いったいどこにこの雑草をよじ登る体力と、花を咲かせる栄養があったのだろう。

朝顔というのは、育てると毎年毎年なにかしら驚かされるものだけど、今年の朝顔もずいぶんな偉業を成し遂げた。

年に一輪でもいいから、やはり夏は朝顔の花を見られると嬉しいものだな。

そしてまるきり木偶の坊に見えた雑草も、実にいい仕事をした。

 

今年はまだまだ暑いから、なんならシーズン中にあと2,3輪咲かせてくれてもやぶさかではないよ。

などとちょっとした欲を出しつつ、はじめてきちんと認識した朝顔に向かって水をやる。