晴天の霹靂

上品な歩き方とかを習得できないまま人生を折り返すとは

カーテンを吊るし、猫を抱く

春分も過ぎたのに、また寒波が来て寒くなった。

朝、暇を持て余してウロウロする猫の気配を感じつつ、布団を出たくないので懸命に寝たふりを決め込んでいたら、しまいに私の身体の上に前足をつき、身を乗り出して必死に鳴き出す。

薄目を開けてそーっと盗み見をすると、

「意識を失った人のために全力で助けを求める賢い子」みたいな絵面になっていてうっかり笑ってしまう。

「『世界の中心で愛を叫ぶ』かっ!」

と突っ込んだところで私の負け、寒い中起きて猫に餌をやるのである。

 

ご多分に漏れず、電気代の請求を見て青くなったので、カーテンレールを買った。

「あそこから冷気が来てるんだよな」と気になっていた金属製の玄関ドアの前に取り付けて、家で一番厚いカーテンを吊るす。

布一枚のことで快適度はずっと増し、あきらかにスースーする感じが減ったにはだいぶ満足した。

これからずっと、夏は暑いし冬は寒いし、電気代はたぶん下がらないのだから、家中のカーテンをちゃんとしたものに変えようかしら、などと考える。

とはいえ、安物でないカーテンは安物でない値段がするのだから光熱費の少ない月に一枚ずつだなあ。

 

「80代の女性がこんにゃくのたらこ和えを盗んで逮捕された。所持金はなかった」というようなニュースを見るにつけ、『レミゼラブル』で読んだ世界はずっといつも近くにあったんだな、と近頃よく思う。

闘う者の歌が聞こえるか