晴天の霹靂

びっくりしました

どんな日にも、とりあえず温めるのだヘソの下を。

寒い寒いと言ってるうちにそれでも2月になり、南のほうからは梅の便りも届き始めてどうやら冬の中に春は育っているらしい。

 

明るくなるのもだいぶ早くなってきているので、お腹が空いた猫から断続的に猫に顔を踏まれ、身体を蹴られして、さんざんな目に合いながら布団から出る朝。

カリカリを用意して、こたつをつけて、温めた珈琲を飲みながら寝ぼけまなこで行う冬の日課が「ハクキンカイロベンジンをいれる」ということだ。

初冬に買って以来、毎日肌身離さず使って気がつけば燃料のベンジンも三本目。

キャンプをするわけでも、釣りをするわけでも、ツーリングをするわけでもないのに、屋内でこれほど愛用するパターンも珍しいのではないかとさすがにちょっと思うが、おかげでわりと寒かったこの冬もこたつと窓用のラジエーターだけ、ストーブなしで過ごしてしまった。

 

キラキラ光る真鍮の蓋を開け、火口をとって、専用のじょうごで計量しながらベンジンを注ぐ。

なにぶん、まだ寝ぼけているからだいたいのところちょっとこぼすのではあるけれど、まあ「こぼすだろうな」と思いながらこぼしているので平常心。

火口をライターでさっと炙って反応を促したら蓋をちょっと当てて、水蒸気が発生してるかどうかを確かめる。

このちょっと手間のかかるところが、またなんとなくいいのだ。

反応が始まっていたら、蓋をして付属のカバーに入れ、手製のストラップで首からぶら下げる。

寅さんのお守りみたいに、ズボンのウエストに挟んで腹を温める。

 

最初の頃は肩甲骨の間のツボを温めると良いらしいなど聞いて色々試してみたのだけど、結局ヘソの下あたりを温めるのが一番簡単で体温も上がりやすいように感じる。

ヘソの下を温めながら、タブレットでニュースを読みつつ、珈琲を飲む。

珈琲を飲み終えたら、さて今日も一日の始まりなのだけど、そのタイミングで餌を食べ終えた猫が膝にのってきてしまったりすると

「なんだよー、今立ち上がろうと思ってたのにー」

なんて言いながら喜々としてもう少しぐずぐずする。

ニュースを読み終わると、そのままうっかり前夜寝る前に読んでいた小説の続きを開いてしまうことさえある。

「いかんいかん、ダメダメ。解散解散」

ハクキンカイロのおかげで五臓六腑がぽかぽかしてくると、いつまでもヨレヨレの格好のままのらくらしていることに反省の気持ちが湧いてきて、ようよう猫をおろして立ち上がる。

ほんの少しの灯油の匂いとともに、今日も冬の一日が始まる。

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冬のはじめころに私が買ったときは三千円を切っていたのだけど、今みると2千円も値上がりしていてびっくりした。

触媒にプラチナを使ってることもあって価格が変動しやすいのかもしれない。

 

 

 

こっちも二年前の夏に買ってからたぶん一日も欠かさず使っている滴下式のコーヒードリッパー。

前日落としておいたのをカップにうつしてレンジで温めるだけなのでどれだけ寝ぼけた寒い日でもすぐお気に入りの豆で珈琲が飲める。神。