人と話さずに長い時間暮らしていると声帯が固まるといったものか、とっさに声を出そうとして情けない声が出てしまうということがある。
あれは、どうやら猫もあるのじゃないか。
近頃寒いので一人でコタツに籠城する時間が増えている我が家の猫は、たまに出てきて退屈しのぎに人間に愛想をふりまこうとして、びっくりするような声を出す。
カラスの雛のような、と私は思うのだけど、カラスの雛の声は聞いたことがないのでそれだとちょっと言いがかりめいているかもしれない。
妙に濁った声ではあるものの、基本的には身体の小さな生き物なのであまり迫力はなく、聞いてて大変にひょうきんな気持ちになる声だ。
本猫としてもやっぱりおかしな気がするのだろう、やけくそ気味に大きな声を出している。
「に゛ゃーー」
「なあに?」
「に゛ゃーーあ」
「エヘンして」
「に゛ゃあああーー」
「エヘンしなさい」
「に゛ゃあああーー!!!」
という具合のやり取りになるのが、最近ちょっとしたお楽しみ。
猫も冬は喉にきやすいのか。