晴天の霹靂

上品な歩き方とかを習得できないまま人生を折り返すとは

収穫の秋来たる

花の売り場に鬼灯がかわいらしく色づいている。

ぜひ買って帰りたいが、うちには好奇心が強いうえになんでも口に入れてしまうやんちゃな猫がいるのだ。

毒のある植物を部屋に置くのはあきらめ、ポンポン咲きの菊を選ぶ。

 

小ぶりなくせにピンピンと鼻先のとがった威勢のよい秋刀魚が出ている。

今日は塩焼きとしても余ったぶんを腹と頭を落として下処理までしておくだけの時間が取れないかもしれないから、次に来たとき買おう。

まだ出始めであろう小さな薩摩芋がたくさん入って安い。

よしよし、これはまとめて焼いて冷凍だ。 

 

柿が安くなっている、キノコが安くなっている、リンゴが安くなっている。

あの恐れ多いシャインマスカットでさえ、まあまあ安くなっている。

鮮魚コーナーで筋子はピカピカと光り、総菜コーナーではおはぎが子猫のように丸く寝る。

秋は祝祭なのだ。

山の羆も、木立の栗鼠も、今頃はみんな忙しいに違いない。

 

「ほれほれ、秋の祭りがはじまっているよ」

ようやく涼しくなってきたカーペットの上にのびのび眠る猫の鼻先に菊の香りを揺らして遊ぶ。

f:id:rokusuke7korobi:20200923211615j:plain

大根としょうゆの海へ秋刀魚くる