晴天の霹靂

びっくりしました

冬になれば毎日の花は。

つい数ヶ月前までは、切り花を活けてもあっという間に傷むことに困っていたのが、気がつけば、いつまでも長持ちするのに戸惑う気候になっている。

お花屋さんで安くて可愛い切り花をみつけ、「前に買ったのが随分前だから、そろそろ買い足そうか」と買って帰ればなんのことはない、その「ずいぶん前に買った花」がまだ全部生き生きしている。

 

花瓶がわりに使っている猫柄マグカップは大入り満員で、寄り道しながらぶらぶらと花を摘んできた小学生の気ままな放課後、みたいに野放図な光景になる。

お手頃ブーケによく入っているカーネーションという花がまた、いつ買ったものか思い出せないくらい元気で長持ちするものだ。

毎日ちょっとずつ傷んだ花から整理していくと、いつも最後はカーネーションばかり残る。

それだけではつまらない気がして、雰囲気を変えるための花を一本二本と買い足し、そうやって我が家の切り花の世界は途切れずに続く。

 

部屋に花をいけるようになったきっかけは、夏のはじめに飼っていた猫が亡くなってからだ。

看取った朝、家にあったAmazonダンボールに寝かせると開け放った窓から一匹入ってきたハエが部屋を飛び回った。

可愛く飾った花の中で目を閉じているうちの子に近づくのが許せなくて扇風機の風を当て遠ざけた、だからあれは、早朝から窓を開けるような季節だったのだ。

買っても買っても花は数日しかもたず、それでも色とりどりにしといてやらないと、冥土の旅の途中でうちを見に来たときに「もう忘れられちゃったのかな」と思いでもしたら寂しかろうと、ずいぶん必死になって花ばかり買い続けた。

 

それなのに、いつの間にか買った花が花瓶の中で渋滞する季節が来るなんて。

あんまり気を張ってなくても、うっかり花を切らしてしまうような事態が起こらないのはありがたくもあり、なにかさみしくもある。

「もう少し、面倒かけさせてくれてもいいのに」

考えてみれば、花を切らすことなく世話をするのに熱中することで心を紛らせていたのだけど、そんな工夫のあれこれを季節がいっぺんに解決してしまうだなんて、誰の裁量か知らぬが意外な展開をするものだ。

 

またカーネーションだらけになってしまった花の雰囲気を変えるのに、今日はポンポン咲きの菊と、テマリソウを少し買い足した。

猫のため、と思うせいなのか、気がつけばいつも柔らかな毛並みを思わせるフワフワと丸っこい花ばかり買ってしまう。

 いつまで経っても、かわいいかわいい。

 

 

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はるか夏打ち上げ花火に似たる菊

 

キープフラワー 500ml

キープフラワー 500ml

  • メディア: ヘルスケア&ケア用品
 

 長くもたせるには、水に浸からないように葉やつぼみをしっかり整理してから活けることと、キープフラワーを使うのが一番効果があった。

50倍希釈なので、500mlペットボトルに水を入れキャップ一杯をまぜた希釈液を作って冷蔵庫に入れておき、水を変えるたびに使っている。

記憶が定かではないが、どうかすると冬場のカーネーションなど一ヶ月近くもってるように思える。