連日30度を超える暑さになると、いい年こいた大人たるもの、バリカンに楽しみを見出しすぎる傾向がございます。
人生初のバリカンを買った時点でこんなことになる予感はうっすらありましたが、案の定、毎日の節目節目、シャワーや水風呂に入るおりなどに
「せっかくだから刈り上げ領域増やしておくか」
などの極めて安易な気持ちで刈り上げフロンティアを前にすすめています。
トップの長い毛をちょんまげみたいに頭頂部で結んで、内側の隠れるところだけスポーツ少年みたいにじょりじょり芝刈り。
シャワーで流したら、マイクロファイバータオルで巻いておくだけでほとんど乾くレベルに軽く、暑苦しいドライヤーもいらないし、こんな手軽な涼の取り方があるなんてこの年まで気づかずにきて「勿体なかった!」と、思う夏であります。
サイドの髪を耳にかけるともみあげあたりにちょっと刈り上げ君がのぞくわけですが、その6ミリ領域に、近年せっせと育てた白い毛と黒い毛のミックス具合がばっちり観測できるのも大変に気に入っており、もはや何のマニアなのか。
ところで一年ほどかけて育てたグレイヘア。
自分で切ったり剃ったりして鏡を見るたびに思うのでありますが、
「白髪減ったんじゃないかねえ」
という気がして仕方ない。
伸ばしてる途中のころは、白黒くっきり境界線があるのせいで染めていない部分が悪目立ちしていたものが、全頭地毛になったせいで馴染んだ結果、減ったように見えるのではないか、と思っていたのです。
それはそれで確かなのではありましょうが、それとは別に体感としては白髪はたしかに減ってる。
白髪になる仕組みって加齢で毛根の色素細胞の働きが低下してメラニン色素が髪に供給されずに色のつかない髪が生えてくる、というのはよく聞く話で、つまりは加齢が原因である以上は不可逆と思っておりました。
ところが加齢の他に、ストレスなどが原因でまだ元気な色素細胞なのにメラニン色素を作り損なうことがあるとやら。
そうだとするとそっちに関しては可逆的でも不思議はない気はします。
髪を染めること自体が地肌に一定のストレスになって、加齢による白髪以外の白髪が増えていたのが、グレイヘアにしようと思って染めるのをやめたら黒くなった、のだとしたら、なんとなく妙な話だったなあ、と回想するのでありました。
白にせよ黒にせよ、ツヤのある健康な髪が生えてくることほど愉快なことはなかなかないので、もはやなんでも良いぞ。