晴天の霹靂

上品な歩き方とかを習得できないまま人生を折り返すとは

『罪人たち』~これはアメリカのオデュッセイアですね

『罪人たち』観てきました。

驚きとヨロコビに満ちた作品で、新鮮であればあるほど余計に驚きがあるので、観に行く予定の有る人はあんまり情報入れないで、できるだけ早めに行くべし。

 


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かっこいい映画でね。黒人差別激しい南部に、うなるほど金があってスタイリッシュな黒人紳士二人が立っていると、もう「この人たちは存在してるだけでヒーローなんだ」とわかる。素晴らしい説得力。

そこから、しばし見せられるブラックミュージックの圧倒的な魅力にうっとりします。

 

からの、突然の『オデュッセイア』開幕。

古代ギリシアだろうが、南北戦争後のアメリカだろうが、とにかくいつでもどこでも英雄が実家に帰るってのは大変。セイレーンがいっぱい来ていい歌聞かせてくれるから目が泳いじゃったりなんかして。

 

ユリシーズとセイレーンたち

本当に、どの時代にも故郷って人の倫理観を根底から揺さぶるトラップがいっぱい掛かってるんだな、と思うと一周回って安心します。誰だって、帰省は気が重いんだよっ。

でも自分の手足を柱にしばりつけさせてでも、セイレーンの歌声を聴いてみたい好奇心が抑えられないからこその、英雄。

 

ジャンル映画として十分に楽しませてくれる(悪いヤツは成敗されろっ!)ことはもとより、目に見えない、歌や知恵や物語の継承に関する胸を打たれるお話でもあり、大変に満足した作品でした。