晴天の霹靂

びっくりしました

積読を枕に猫の春炬燵

雪原に連続性のないカラスの羽と足跡。

新雪の中にひょいと飛び込んで、ちょっと遊んで寒いのでまた飛び立ったのだろうか。

立春を過ぎても人類にはまだまだ寒いが、猫はこちらよりだいぶ早く春を感じ取る。

おお寒いと不平勝ちに家の中で用事を足している合間合間に

「暇だからいっちょ遊ぼうか」

と元気に誘いに来るようになった。

お前は何ヶ月もろくにこたつから顔も出さずに寝ていたではないか。

気温はそれほど上がっていないのに、何をはしゃいでいるのか。

と思いはするが、猫はむしろ気温より日照時間の変化によって季節を感じ取っている気配がある。

なんだか最近、彼女は嬉しくてしかたないようだ。

 

邪険にするのも気がひけるので家の中のどこへ移動するにもポケットから猫じゃらしをたらしてプラプラさせながら歩いていると

「やるならちゃんとやれ」

とばかり、猫は離れたところからちょっと首を傾けてこちらをじっと見る。

よし、じゃあちょっとだけ遊ぼうか。

彼女は部屋の壁を利用して猫じゃらしの先のおもちゃをちょっと出したり隠したりするところを、もぐらたたきのようにパッと手を出して押さえる遊びが好きだ。

さっと伸びてさっと縮む、真っ黒い手先がかわいい。

それでも小さい頃は、一度捕まえたおもちゃを二度と離すまいと本気で唸ったり、咥えたまま人間の手の届かないところまで持ち去ろうとしたりして、遊ぶのも難しかったが、一緒に過ごした季節のぶんだけ、ずいぶん遊び方も慣れてきたものだ。

遊びのルールが完全に破綻していた頃のお前さんも可愛かったけどねえ。

などとおもちゃのエビを出したり引っ込めたりしながら回想をする。

仕事は全然進まない。