買い物メモはアレクサを使っており、何か補充の必要なものがあると突如
「アレクサ、買い物リストに○○○!」
と叫ぶ暮らしをしている。
あとは買い物に行ったときにスマホでアレクサアプリを開いて、買った順に消していけば家で何かを切らすことは殆どない。
本当に便利なものである。
そんなわけでいつものようにお店に入ったときにアレクサアプリを開くと
「カマンベイベー」
と入力されている。
もちろん、しばらく考える。
真っ先に思い浮かぶのは「カーマンベイベー アメリカ」だ。
問題はなぜDA PUMPが買い物リストに入っているか、ということだ。
空気を読めないアレクサが間違えて鼻歌を大真面目に記録してしまう、なんてことあるだろうか。
念の為、サビ付近のどこかに「アレクサ」とか「買い物リスト」とかと聞き間違えそうなワードが入ってないか確認しようと試みるが、どれほど頭を捻っても「カーマンベイベーアメリカ」以外にそもそもほとんど歌詞を知らない。
万が一鼻歌で歌ったことがあるとしても、「ふんふんふんふん どっちかの夜は昼間ーっ!」とか脈絡なしに叫ぶ程度のはずだ。
この難しい謎は店をぐるっと一周して乳製品コーナーに到達したあたりで自然と解ける。
「……カマンベールっ!」
近頃は朝トーストを食べるときにカマンベールチーズを一切れ添えているので、定期的に買い物リストに「カマンベール」が入るのである。
AIとしては「カマンベ」まで聞き取れているなら、どれほど滑舌が適当でも過去のデータを元に「カマンベールですね」と判断しなければむしろ不自然であるように私には思われる。
それとも我が家のアレクサが収集した私の生活データから鑑みて、定期的に買っているカマンベールという選択肢はいったんよそに置いてでも、いきなり家で「アレクサ、カマンベイベー!」などとはしゃぎだすような人間とみなされるんだろうか。
日々楽しく暮らしてはいるが、そこまでむやみに陽気ではない。