マトリックスの新作見てきました。
毎回タイトルがさっぱり覚えられないので、シリーズ何作あるのかももはやよくわからない例のアレ。
公開直後の週末なので結構人のはいった劇場だったんですが、終始大笑い、満足して帰ってきたんです。
それで、すでに見てきた人と「いやいや、面白かったね」なんて話をしようとしたら全然テンションが違うではないですか。
「とにかく退屈だった。途中で一旦寝落ちした」
なんていう話になりまして、おおっ、と思いました。
そりゃあ寝ることは私も寝ましたよ。
この季節の劇場は急に暖房が効いてくるタイミングがあって、その時間帯と映画の「アイドリングタイム」が重なるとだいたいみんな寝るものじゃないですか。
そんなことよりマトリックスというのは「自分だけ情報が不足して戸惑っているキアヌを見つめる会」であり、年季が入ったぶんだけキアヌの戸惑い方にも一段とおかしみが出て本当に味わい深かったではないか。
せっかく好きな人に声かけたのに「子供の鼻にレゴが刺さったから帰る」と言われる50代の悲哀なんて誰がやってもそうそう映えるもんでもあるまい。
やけにセリフで説明するシーンが多くて眠くなるというのは間違いなくあるんだけど、「ちょっと小難しげに聞こえる屁理屈」はマトリックス流のサービス精神であろうし。
もともと初期シリーズからあの世界がどういう理屈になってるのかちゃんとわかって見た試しがないので、今さら理解できなくても負担にもならなかったです。
子供にまで軽く見られるとか、カフェに行くだけで「エロいママ」呼ばわりされるとか、家庭にとじこめられてもともと可能性などなかった人生として扱われるとか、そういうクソみたいな世界をやめたら「なんかもう空も飛べるようになった!」っていうのは、いいんじゃないか、夢があって。私は嫌いじゃない。
「しょぼくれ中年頑張れ映画」ばかり作りすぎて映画から若者を離れさせてるっていう論点は当然あるだろうけど、それでもやっぱり中年としてはちゃんと刺さっちゃうけどなあ。
結構いい年になってから「あ、そもそも主役は俺じゃなかった!」っていう、自分の伸びしろの限界が見えたからこそむしろ自由になる感じも、なんかわかるし。
いつも事情わからずにみんなにただ引きずり回される人気者キアヌ・リーブスも最高だから、ほらやっぱり面白かったと思うんだけどな。