『ジョン・ウィック:コンセクエンス』観てきました。
回を追うごとにますますみんな楽しそうで最高です。
公開前から予告で何度も見せられたキアヌの「メイワクカケテ スマナイ」のセリフがすっかり癖になって、うっかりすると風呂場で口走ったりしてたもんですが、いざ公開されて観に行ってみたら驚いた。まさか本当にメイワクかけにきただけだったとはね。
かくしてかなりメイワクかけられてズタボロになった真田広之がキアヌを逃がす前に呼び止めて苦しい息の下から言ったことには
「できるだけたくさん殺して行ってくれ」
この映画のコンセプトをこんなに端的に説明する言葉もないもんだ、と思ってすっかり感心させられました。さすが真田さんは手際がいい。
ジョン・ウィックシリーズもチャプター3あたりから、私は『らんま2/1』をやたら思い出すんです。
大好きなキアヌに思いを伝えたいばかりに道を歩けば世界中から屈強な男どもが駆け寄ってきてしまう。どうやったらできるだけ印象的に愛を伝えられるかというので、各々がいろんな創造性を発揮しながら散っていく姿は、なかなか胸にジンと来るものがあります。
ひょっとして、これは世界で一番お金をかけて作られているBL作品なのではあるまいか。
中でも今回はドニー・イェンがかっこよかったのです。ドニー・イェンって最近見るたびに盲目のような気がするものの、あの稀代のかっこよさを見ると「悪いけどあの役でもう一回やって」って言いたくなる気持ちはよく分かります。
キアヌがかつて異星から降ってきたごとき繊細な美青年だったことも忘れがたいことではありますが、年を経るごとに増すドスドス動き回る不用意な獣みたいな魅力は他ではあまりみたことがない種類のものではあり、たしかに彼が道の向こうから歩いてきたら私も果物ナイフくらい持って参戦したくなるかもな、という気にはさせられます。
その上、ジョンウイックシリーズは世界を救ったり、家族を守ったり、世に正義をもたらしたり、というウイル・スミスあたりならぜひやりそうな余計なことは一切しないのが観ていてとても気持ちがいいです。
彼の主張は「僕の子犬に何をする」とか「死んだ妻の手紙返して」とかいうだけの、言ってみれば「女々しさ」のヒーローであって、彼自身はそっとしておいてほしいだけなのでどんなに強い男たちから求愛されても響かない、というところがね、愛は切なくていいですね。
「そうか、あんたの本当の家はそこだったのか」というラストシーンがまた最高でした。悲しいシーンだけどハッピーエンド。最高。
思えばガソリンスタンドでチンピラに絡まれただけの不運な人でありました。
亡き妻の手紙をしまってある車を返してほしかったの。
「ジョン・ウイックさん、ファンなんです!」と言いたいだけの人が次々出てきて大爆笑。
ジョン・ウイックほどおもしろ飛び道具とか出てこないけどおもしろい。