晴天の霹靂

びっくりしました

『フリークスアウト』~こんなにおもしろいとは聞いてなかった

『フリークスアウト』を見てきました。

劇場で予告映像を観て「X-MEN風のB級おもしろ映画だろう」と観に行ったら、思ってたのと全然違う映画が始まったので大層びっくりした。

非常に面白かったです。

 


www.youtube.com

 

見世物小屋映画っていうだけで、ついつい気になって見にいくんです。

「フリークス」やら「エレファント・マン」やら「ナイトメアアリー」やら「グレーテストショーマン」やら見世物小屋映画の系譜は、どれも好きではあるんですが、思うに近年はちょっと豪華すぎるのではないか、というのが気になるところではありました。

もっとしょぼくて、いかがわしくて、場末感あってこその見世物小屋じゃないのだろうか、と。

 

それがここに来て『フリークスアウト』の冒頭、いきなりはじまる見世物興行の規模感にはいきなりぐっと来ました。

団長みずから不思議な楽器を次々操って人を呼び込む手作り感、核家族くらいの構成人数だけどどう見ても決して血縁ではない団員たちの図り難い距離感。

見世物小屋好きならあっという間に引き込まれる見事な導入でした。

肉声の届く範囲にしか売れない娯楽ってのがいいと思うのよ

「最優秀見世物小屋じゃないかっ?」

なんてワクワクしながら観ていたら急展開で本格戦争映画になっていき、これは一体?と思ってるうちにB級ナチ物っぽくなったり、デル・トロのダークファンタジーみたいになったり、猛烈に盛りだくさん。

ちゃんと列車を襲うところもいいですね。やっぱり良い戦争映画は列車を襲わないとね。

 

不満を言えば、せっかく多毛症の怪力男に「読書好き」という興味深い設定があったんです。

戦時下で、ほとんど着たきりみたいな移動生活で、貧しいサーカス暮らしで、それでも読書家なんて印象的な設定なので、これは後で生きてくるんだろうと思って観ていたら、なんでもなかったですね。

パルチザンが隠棲している森が『華氏451』っぽかったので、ここで焚書の話とかになるのかっ?と思ったんですけど、それは肩透かし。

 

「いやあ、面白いものみたなあ」

と家に帰って思い返せば不思議なところも色々ありました。

電気少女にビリビリやらなかったらかわいい虎ちゃんは何故無事だったのか、とか。

磁石男がされていたビジュアル的に印象強すぎる人体実験はなんだったのか、とか。

よく考えてみれば不思議なところもないじゃなかったが、たぶん今年一番の「まさかこんなにおもしろいとは予想もしなかったで賞」でありました。

 

 

 

 

 

ちなみに見世物小屋小説といえば『異形の愛』ですな。