『哀れなるものたち』を見てきました。
「また140分とかあるのか。これだから最近の映画は」
とかうっかり思っていたんですが、マーク・ラファロとウィレム・デフォーを見て大爆笑してたらあっという間に終わってしまった。
あんなにためらいなく机に頭ぶつける大人は初めて見たよ、マーク・ラファロ。
非常に気持のいい映画で、何が一番心地よかったかと言えば、エマ・ストーンが豪快に脱ぐシーンの数が多いんですが、全然扇情的でないところです。
見てる人をエロい気持ちにさせる必要がない場面では、どんなネームバリューのある役者さんが脱ごうが扇情的には撮らん、って考えてみれば当たり前の演出ですが、あんまり見たことがなかったような気がします。こんなに見ていて変な気持ちにならなくてすむセックスシーンもあんまりない。
フランケンシュタイン博士たるウィリアム・デフォーが自分の欲望のために人造人間を創るわけです。
面白いのは女性は知能が発達すれば貞操観念とか性的羞恥心とか母性とかがひとりでに身につくんだと思ってほぼ軟禁状態で成長させてしまうところ。赤子の脳みそを純粋培養すれば家父長的価値観がプレインストールされているはず、ってフィクションで見ればバカバカしい思い込みですが、そういう女性しか見たことなければ、たしかにまあそうなるのか。いや、そんなわけあるかい。
それから性豪弁護士マーク・ラファロが素晴らしい造形でした。お金を持っているときと性的に優位に立ってるときだけ非常にオラオラ系ナイスガイですが、どっちもなくすと途端に目も充てられないのくらい小者ぶりを遺憾なく発揮。しかしマーク・ラファロがあまりにもキュートすぎるのでたいして嫌な気持ちにもならないままうっかり見てしまう、というあたりも抜群のコメディだったと思います。
途中でいったんエマ・ストーンが”親の決めた相手と結婚”しそうになったのを見て「ここまで見せられてこれかよ」と座席を立って帰らんばかりになったもんですが、そこはちゃんと途中で横槍が入ったので安心しました。
最終的には「パッと見ても誰と誰がどういう関係になってるのか全然わからないけどなんとなくわりと楽しそうな風景」で終わっていってメデタシメデタシ。
原作もめっちゃ面白いと聞いたので現在読んでいるところ。そしてまだ途中ながら映画を上回って面白い予感がしている。