晴天の霹靂

びっくりしました

『バービー』~ピンクのディストピア映画

『バービー』見てきました。

大変に変わった映画で、面白かったです。

 


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映画としては予想に反して物語のバランスが取れていないのが終始不思議な感じがしました。

バービーランドとリアルワールドでコントラストがはっきりしてないからどういう気分で見たらいいのか戸惑ってるうちにどんどん話が進むし、全体の雰囲気のわりにセリフが長いからたまにぼんやりしてくるし。

全体的にスマートな映画ではないなあ、と思いつつ観てはいたんですが観た後は

「いやー、めっちゃ楽しかった。いい映画観た!」

とウキウキ帰宅でした。

 

冒頭の『ツァラトゥストラはかく語りき』のシーンは文句なく素晴らしいし。

ゴッドファーザー』を観るケンのあたりでは笑いが止まらなくなるし。

ライアン・ゴズリングは本当に頭空っぽに見えてすごいし。

トキシック・マスキュリニティのあんまり極端な戯画化のシーンを観てると「そこまでせんでもいいのではないの」などと心配になったりもする一方で、「LAあたりでもこんな感じなのか」と妙な感心もしたり。

人を不安にさせておいて力づくで楽しい気分で終わるディストピア映画、思考回路が破壊される感じでいいですね。

 

……しかし、ラストシーンはてっきり就職面接だと思いましたよね?

 

グレタ・ガーウィグ監督の『ストーリー・オブ・マイライフ』が素晴らしくてね。

かつて『若草物語』を楽しく読んでいたのに、もっとも魅力的な人物だったアセクシュアル女性のジョーがつまんない結婚してしまうところで失望して本をぶん投げた往年の文学少女たちを救う癒やしの物語でありました。

この映画のバランスの良さを思うに、今回バービーの世界観が定まらないように観えるのはわざとなんだろうなあ、と思ったりしたもんです。