『ロード・オブ・ザ・リング』のIMAX上映を見に行くのに平行して原作の『指輪物語』も読んでおります。
映画は第二部『二つの塔』の公開を見終わったところですが、小説は第一部『旅の仲間』を読み終わったところ。
さて、それでは小説も第二部に進むとするかね、と思ってKindleストアに行ったら見たこともない装丁の版が出ていてびっくり。
「まさか第一部まで読み終わったタイミングで新訳出たのかっ」
と頭抱えたものですが、よく見たら訳者は変わらず、どうやら固有名詞だけ時代に合わせて見直して改訂版として出し直したようでした。
また冒頭から読み直しかと思った。
たしかに読んでいてちょっと古めかしいのは気になっていたんですが、70年代の翻訳ということで、当時の子供にも世界観が伝わるように非常に工夫して出した名訳なんだと思うのです。
「レンジャー」が「野伏」としてあったりするところなんか、70年代の子供がこのファンタジーをいかに受容したかというところに想像が行って二度美味しかったりします。
映画版ではヴィゴ・モーテンセンが演じた「ストライダー」は、小説では「馳夫」と訳されていたりします。
映画ができるよりだいぶ前の時代のことなのだからイメージにひっぱられないように読もうと思っても、今となってはどうしてもあのオシャレ髭が脳裏をよぎってしまってどうもニッコリしてしまう。
「世界観が伝わるように」という苦心が感じ取れて読んでいてちょっとうれしい訳文ではあるものの、たしかにここまで映画のイメージが強くなったとあっては改訂版が出るに良いタイミングなんだろうな、と第二部からは最新版を買ったのでした。
最初からまとめ買いしなくて良かった。
ときどき自分はもう壮大なスケールのファンタジーに浸る感性の体力(?)がないんじゃないか、なんて気持ちになることがあるんですが、そこは物語のえらいところ。
自分に体力がなくても、ファンタジーの方で人類よりはるかに息の長い体力をもってるので、いくつになってもハマるときはちゃんとハマる、心配ない、ということのようです。
日に日に寒くなる風の音を聞きながら『指輪物語』を読み、冬に追いつかれる前にと急かされるように編み物をし。
日々惨憺たるニュースばかり流れて来る世界の中で、自分だけこんなふうに平和な時間を与えられて大丈夫だろうか、なんかズルしてるんじゃないか、なんて思ったりもするんですが、この状態がつまり「ホビット庄」であって、心の強さを作る時間そのものなのかもしれず、つまり今日もたんぽぽ色のマフラーを編んでいます。