『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』を見てきまして、全部IMAXで見る体験無事終了しました。やっと指輪は壊された。
それぞれ3時間とかある長い旅ながら、改めてIMAX最高でした。
家のパソコン環境だとこれだけの長さを見る集中力はなかなか湧かないもんですが、映画館ってありがたいもんですな。
養父が変な指輪拾ちゃったせいで何の得もないのに苦しい旅に出る羽目になったフロドの物語ですが、旅の最後に自力で指輪を捨てられないシーンの没入感が非常に素晴らしかったです。
第一部、第二部くらいまでは、まだちょっと
「フロドって主に目を回してぐったりしてるだけで、本当に大変な思いしてるの周りの人だな」
って思ったりもしたもんですが、実際のところは他に誰も耐えられない指輪の誘惑とずっと闘ってるわけで「絵的に地味だが超大変」なヒーローではあるわけです。
劇場で見る闇の表現の素晴らしさによって伝わってくるようになった内面の葛藤でした。
それが最後「生活と命をなげうってここまで来た瞬間」を、さあ手放せって言われても、
「そりゃ無理だよね、もう魂の帰るところなくなってるし」
っていう致し方なさが、非常に伝わってきて切なかったですね。
あそこまで苦しい体験をしてしまうと、特別な指輪じゃなくて単なるゴミでも捨てるのはもう無理だよな。
実際、あんなに帰りたかったホビット庄に帰ってももう適応できないし、指輪捨ててからのフロドはほぼランボー状態です。
ランボーは平和そうに見える家の地下に何十年も謎の要塞トンネル掘ってて観客をびっくりさせたもんですが、フロドの方はエルフ達に別の精神世界に連れていってもらったってことで、そこはある意味ファンタジーの方が少し優しいんですかね。
すぐ前の客席に、公開当時の2003年にはまだ生まれてなさそうなお年頃の男子が座っていました。
スクリーンが近い前の方の座席だったので私などは背もたれに張り付くようにして見ていたのですが、ふと気づくとその男子は3時間の長丁場ずっと前に身を乗り出して、それこそ食い入るような前傾姿勢で観ておりました。
その夢中になってる背中に大変な感動を覚えて、画面の中のフロドと、その座席の上のフロドと交互に観察してしまったことです。
真にファンタジーというものは、ああいう人のためにあるのではないか。
しみじみ、いいもん見た。
「帰ればめでたし」じゃないのが戦争映画のつらさです