晴天の霹靂

びっくりしました

『光る君へ』(4)五節の舞姫 ~天女も楽ではない

百人一首の中で初心者でもわりと取りやすいでおなじみの句に「天つ風」があります。

 

天つ風 雲のかよひ路 吹ききとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ (僧正遍昭

 

宮中の儀式で踊る少女たちが天女みたいなので、空に帰ってしまわないように雲に通せんぼしてほしいと、坊さんが詠んだ、という微妙な気持ちになる歌です。

この少女たちが踊ったイベントが「五節の舞」。今にも天に上っていきそうに見えるのだからさぞかしひらひらふわふわした舞かしら、などとイメージしていたものです。

そんな「五節の舞」が大河ドラマで観られるとは。

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当然といえば当然なのですが、「天にも昇る」どころか、ひとたび躓いたら自力で起き上がれなさそうなくらい長い裾を引きずって、重そうな髪にも飾りまで付けて、なかなかにどっしりした舞でありました。

番組中では四人で踊っておりましたが、誰かの裾でも踏もうものなら大惨事というところでしょう。風流とはかくも重いものかしら。

僧正遍昭はいたく感激したらしい五節の舞ではありますが、往来で庶民相手にやってる軽業つき風刺コント「散楽」を見慣れている若者・道長は踊りの間ずっと居眠りしてるところも良かったです。そりゃあ、正直ピンと来ない貴族もいるだろうなあ。

 

紫式部が出入りしているお嬢様勉強会で「じゃあ今日は竹取物語について話し合ってみましょうよ」となるエピソードも、楽しいシーンでした。

かぐや姫が求婚されたときにあんなに難しい条件を出したのはなぜ?」なんて聞かれて、量産型モブお嬢様は「どなたのことも気に入らなかったからじゃない?」という普通に思いつきやすい答えを言うわけです。

そこで紫式部は「いや、かぐや姫は身分制社会に批判的な思想があったからじゃないかな」なんてことを言ってすごい勢いでドン引かれます。静かなる「かぐや姫に政治を持ち込むな論争」勃発の瞬間。

ちなみに私が考えた答えはやっぱり「かぐや姫は宇宙人だから、さじ加減が難しかったんだろう」というあたり。そこは現代人として、絶対的にコミュニケーションが取れない人がすぐそばに暮らしている実感がより濃厚になるのであります。

 

最近見かけたご機嫌ネットニュースでこんなものがありました。みんなのオアシス叶姉妹がどこかの音声メディアでこんな視聴者からの質問を読んだ、と。

いわく「叶美香さんが大好きで、どうしても付き合いたいのだけどどうにかして夢をかなえる方法はないものでしょうか」

これに対して姉妹の答えが「履歴書と顔写真、全身写真を送ってください。意外とすぐ付き合える可能性があります」でした。

読みながら私は「出た、かぐや姫!」と膝を叩いたものです。

女性は普通に育つと力のある拒絶の言葉を習得しないように教育されてしまうので、様々な時を経て、環境を経て、次々転生していくかぐや姫の存在って、実は非常に大事ですよね。

 

第四回放送もおもしろかった。