お店で何を手にとってもどうも前より高くなってる気がしている昨今、
初売り後からまたなんだか一段階価格の水準が上がったように思える。
こちらが油断してるスキに上っているとは薄情、と売り場を見まわせば、一角にたくさん並んだ数の子に豪勢に半額シールがついている。
「数の子500円なら安いし、好きだけど、今大量にあったところでなあ」
となるのは切ないところ。
美味しいものならいつ食べてもよい道理ではあるが、腹の足しになるものでもないことを考えると、半額になっても日々のお惣菜としての500円はやっぱり贅沢品である。
お店の方だってわかっていても半額以下で売るわけにはいかないのであろうことを考えると、色々切ないものがある。
暮れに買った栗の甘露煮が余っていたので、さつまいもの安くなっていたのを買ってきて栗きんとんにする。
れんこんも小さい一節が余っていたのを、他の根菜と合わせて酢の物にする。
物価高のおり、正月食材はしばらく安く出回っているから、旧正月くらいまでは普通に惣菜として食べていくのもこの際ありかもしれない。
次の正月用の試作品も兼ねることにもなるし、
「今回は作らなかった昆布巻きも、1月のうちにやってみようかなあ」
リカバリしてる余裕のない年末に普段作らない献立を作るから、変に失敗を避けがちになるが、余裕のあるうちに一回成功しとけば、それ自体は別にどうってことないはずなのではある。
「……でもガス代も上がってるからあまり時間のかかる煮物作るのも厳しいか」
ちょっとばかりくよくよしてきたので、猫の好きな新聞をお土産に買って急いで帰る。
猫が幸せなうちは、大丈夫。