年末の作戦運びがよかったせいで今年の「正月休み用作り置きa.k.aおせち」は過去最多の品揃えで完成した。
昆布巻きが煮たりなくて硬かったくらい、よしとしよう。
作り慣れているからと余裕ぶって後回しにしていた紅白なますを作るタイミングを完全に逃したこともよしとしよう。
ちょっとだけ残しても仕方ないからと欲張って野菜を巻き込んだ鶏の八幡巻きがフライパンの中で陰腹切ってしまったこともよしとしよう。
とにかく正月の間はこたつから出なくても死なない程度の、しかもそれなりにおめでたそうな品数は揃ったではないか。
全部の料理をタッパーに収納し終わったらバタバタとお風呂に入ってお蕎麦を食べる。
NHKプラスのサイトを開いて紅白歌合戦をチェックすれば、今年も次々知らない人が出てきて知らない歌を歌う中、ただただ二階堂ふみがいかに可愛いか、を確認し続けた。
そうは言っても司会が一番歌うまいというのはマズくないのか、と思ってハラハラしていたら終わり間際にちゃんとSuperflyとMISIAが出てきたのでやれやれ良かったね。
嵐は最後なのになぜかくも安っぽいCGの中で歌わされていたのか。
といったようなことを不毛の思いで悩んでいたらいつの間にやらゴーンなどと言い始め、考えてみればだいたい毎年、紅白より行く年来る年のほうが面白いのだ。
いつもとルーティンが違うのでなんとなく戸惑っている猫を膝からおろして眠った。
新年は神棚にお神酒をあげて、餅屋から買ってきたつきたて餅と、切腹してしまった鶏の八幡巻きと、余った出汁などで適当にお雑煮をつくって、「正月休み用作り置きa.k.aおせち」をぼちぼちつまむ。
新しく買った鉄の卵焼き器で焼いた伊達巻きがそれは素晴らしい出来で「これは500円くらいで売れるな」などと値踏み。
だいぶ作り慣れてきた黒豆の赤ワイン煮も、甘さ控えめで食べやすい。
やたら甘くしたりしょっぱくしたりしなければ、おせち用の品々って本来はどれもわりと美味しい。
新しいカレンダーを出し、手帳を出し、アレクサを相手にひとりで百人一首を取った。
そのまま引き続きコタツの中で惰性を発揮、2020年最大の謎「鬼滅の刃」に改めて取り組まんとアニメを見直してみる。
一人ひとりのキャラクターが持っているそもそもの設定の面白さとか、衣装や小道具にこめられている意味の細かさや絵の美しさなどいいところもたくさんあるなあと思いつつも、改めてゆっくり見ると自分にはどこが苦手なのかもよくわかる。
まずは「妹」の視点から見れば、強制的に幼女期にとどめておくことで自分と共依存関係を続けようとする兄の存在が怖い。
「主人公」の視点からみれば、思春期を超えても家族の呪縛から逃れられず、長男として以外の人格を奪いつづける機能不全家族を全肯定するのが怖い。
「社会」という観点からみれば、「耐えるか、死ぬか」の二択しかない世界観が怖い。
ことほど左様に、自分の育った世代、属性、などに鑑みて心底恐ろしいものが自然に盛り込まれ過ぎていることが苦手な原因らしい。
たぶん、時代や価値観がすでにすっかり変わっているのだ。
私が人生の自立をかけて思春期の通過儀礼やっていた時代には「共依存」「機能不全」はなによりもまず乗り越えるべしとされていたものだったが、今はむしろそういうことを言ってる場合じゃないからチームをがっちり組んで世界と闘っていかないと生き残れないぞ、っていうメッセージのほうがよりリアルになっているんじゃないか、という気もする。
世界と対峙するのは個人の仕事だと信じていた私は、まだ今より豊かな時代の中で成長させてもらえていたってことなんじゃないか。
こたつの中でアニメを見つづけたまま動かない私にしびれを切らして膝の上で眠ってしまった猫をどかせて、目の疲れを感じつつ元旦を眠った。
2日は散歩がてら寒い中をKALDIに出かけて、コーヒー豆福袋。
普段よりちょっと良い豆がふだんと同じくらいの値段で買えた。
いつものコールドブリューではなく、久しぶりに熱い湯でペーパードリップのニューイヤーブレンドを飲む。
低温滴下式では抽出されない、いろんな方面の香りが抽出されてきて、やっぱり時々淹れ方を変えて飲むというのは、たいそう面白いことだ。
ずいぶんと気温の下がる正月で、コタツに入って熱いコーヒーを飲みながら「怖い俳句」を読む。
平和にお正月が迎えられるというのは本当にありがたいものだけど、ゴミもたまってくるし、普段の掃除やら洗濯やら仕事の続きもしたくてムズムズしてくる、ちょうどいいくらいのリズムだ。
大人になると、正月は自分から迎えに行かないとやってこない。
だから歩いていくんだね。
一品一品のレシピ以上に「こうやって作戦組んでいくと、仕事が忙しくても年末に勝てる!」という作戦が書いてあることが、心強い。
ブログにも(たぶん)全部のレシピが公開されているので、私はこの本が出版されるはるか前からこの著者さんの「黒豆の赤ワイン煮」を作り続けているんである。
いつ読んでも面白いけど、年末年始の徒然に読むとまたたまらない名著。本当に個人的な恐怖心とはポエジーであることよ。
手間がかからないわりに安定した味のコーヒーがいつでも飲める滴下式ウォータードリップ。お湯を沸かしてゆっくりハンドドリップは、やっぱり心の余裕のあるときでないとなかなかうまく淹れれないものであるからして、日頃のカフェインチャージには本当に便利。