晴天の霹靂

上品な歩き方とかを習得できないまま人生を折り返すとは

『作りたい女と食べたい女』~コミック版の食いっぷりに追いついてくれると嬉しい

『作りたい女と食べたい女』っていう漫画が好きで読んでいたんですが、気づいたらNHKでドラマ化されていたのでちょっと驚いた。

料理を「作りたい欲」ってものもあるし、「食べたい欲」ってものもあるけれど、「食いっぷりを見たい欲」ってものも、わりとあまねくあるらしい、というのはかつて『孤独のグルメ』の大人気が証明したところです。

しかしそこにはまだ「女性が一心不乱に食べまくる」という素晴らしい鉱脈もあるんだぞ、ということを示唆したのが、この漫画でした。

 

「あれを食え」「これは食べるな」「どれくらい食え」「いつ食え」「どう食え」などの情報に押し流されるばかりで、屈託なく食べたいままに食べられる人などほとんどいないであろうと思われるこの社会、ましてや女性に対しては「そもそも病気の小鳥くらいの量しか食うな」というプレッシャーも相当強い。

 

そんな中でただ無口な存在感を放ちながら自分のために黙々と食べ続ける女性、春日さんの魅力は、ある意味、抵抗運動のようにも見えて、癒されるものがあるのです。

女性の体は公器じゃないんだから、食べたいものを食べたい量食べるのに遠慮はいらんのだよ。

 

漫画が好きなだけに、「春日さんの食べっぷりが実写ドラマ化のすべての鍵を握っているだろう」と、不安におののきつつ第一話を鑑賞したものです。

www.nhk.jp

 

感想としては、漫画には出てくる二人の非正規労働で働く女性の生活感みたいなものが消されてしまっているのがだいぶ残念であったし、国民の胃袋、松重豊とつい比べてしまうと食事シーンもだいぶ迫力に欠けると言わざるを得ない。

それでも常に黒っぽいダブダブの服を着て、ほとんど喋らない春日さんの、隠れがちな可愛らしさは存分に描かれていて、その点に関しては愛情を持って実写化されたんだろうな、とは思いました。

 

とりあえず、今後も見ていくものとする。