10月に買った電子書籍まとめ。自分で思った以上にアイヌ関連、北海道関連、先住民関連に集中していたのでびっくりした。
ゴールデンカムイ(英語版)
年明け早々実写化が来るので原作振り返り中。10月は1~4巻まで読んだ。日本の漫画をなぜわざわざ英語訳で読んでるかと言えば、かつて途中のどこかまで読んでいるので「同じものを電子版で買いなおすというのもやや納得いかない……」と悩んだ挙げ句、バージョン違いを読むことにした。当然割高なのはちょっと切ないものの、アイヌ語表現に関してはカタカナで書いてあるより英語表記のほうがおそらく実際に近い発音で読み取れるのは思いがけない発見。
『アイヌ人物誌 新版』
『ゴールデンカムイ』実写化について色々思うことあったり、国立博物館ウポポイに行く機会があったこと、道北生まれの父に昔の話の聞き取りをはじめようと思っていること、など色々重なって古い北海道について読んでいる。これはまだ読み始めではあるものの、とりあえず松浦武四郎という人は大変おもしろい。そして漫画が驚異的にうまい。
『中年肉体百科』
本当はちゃんと単行本にまとまってから買いたいんだよな、と思いながら、分冊でも出てるのを見かけるとついいそいそと買ってしまって、10月は1~4巻。中年が身体にガタが来るのをただこぼすのって、読んでるとファンタスティックでいいんです。クローネンバーグが言うには「老化はメタモルフォーゼ」なのだから!
『完本 アイヌの碑』
この本も本当に面白い。情けないことに北海道に育って40年以上、「身近にアイヌって見たことないんだけど、どこに居るのだろう?」とぼんやり思ってきたもんです。近年『ゴールデンカムイ』の流行や「ウポポイ」の開業、百年記念塔解体によるヘイトスピーチの激化、国会議員の差別発言などで「もしかして見えなかったことそのものが最大の問題では」とようやく思うに至る(遅い)そんなわけで、これは私が不明で何も見えてなかった期間も間違いなく存在し続けた人の記録。あと単純になんでもできるすげえ人。おもしろい一代記。
『記号化される先住民/女性/子ども』
盛りだくさんだったので、一周勉強してからもう一回読む。
『天北原野』
父がまさに天北原野あたりの育ちなので、入植期の様子がわかる小説かと思って買ってみた。しかし読むとやっぱり三浦綾子さんの文章が苦手で、読み進まなかったなあ。そんなテンプレっぽい言動とモチベーションで生きていく人たちって居るかなあ?と思ってしまう。
『街道をゆく 北海道の諸道』
買ってはみたもの、私は司馬遼太郎さんの文章も実際どういうテンションで読んでいいものか今ひとつよくわかっていないことを思い出してしまい、途中で止まっている。
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン オセージ族連続怪死事件とFBIの誕生』
スコセッシによる映画化が楽しみだったのもあるし、先住民と入植者の話でもあって興味を持って読んだ。すごく面白い。それから先住民と地下資源をめぐる問題であるという点においては『ゴールデンカムイ』にも実は結構似ている。
『11 eleven』
短編『五色の船』を読みたくて買ったので、まだそれしか読んでいない。
『五色の船』
近藤ようこさんによるコミカライズ。異形の人たちを乗せたカラフルな小さな船の話。原作小説よりこちらの方が好きだった。『異形の愛』とか『ナイトメア・アリー』とか、見世物小屋一家の話はとりあえず惹かれます。
『ハルコロ』
『ゴールデンカムイ』以前のアイヌものコミックの名作と聞いて読んでみた。全2巻。中でも今まで文字を持たない民族であるということを何かが欠損した文化であるかのように思いこんでいたことに気付いたのは発見。文字を持っている文化は、文字を持つことによって失われたものが多くあるんじゃないか。自分の感情を歌うように伝える能力とか、記憶力とか、伝えるべきことを物語としてまとめる力とか、そういうものは文字と引き換えに、あるいは我々から失われるのではないか、と思ったものです。
『イスラエルvs.ユダヤ人――中東版「アパルトヘイト」とハイテク軍事産業』
見る間に世界情勢が悪くなっていくのを見つつ読んだのだけど、考えてみればこれも入植地を巡る問題。
『アイヌの世界に生きる』
ルーツは和人だけど家が貧しくて養子に出され、アイヌとして育った女性の聞き書き。”開拓期”にはよくあった話だと言う。これまでそんなこともまったく知らなかったことに我ながら驚きつつ読む。
なんせ原作マンガを無理に英語で読み始めてしまったのでガイドブック代わり。強くて知恵がある理想像としてのアイヌ。たしかに冒険物語に出てくるキャラクターとしては抜群の造形で、本当にエンタメとしてはとてもおもしろい漫画である。
今週のお題「最近読んでるもの」