公園は数日前と比べても同じ場所とは思えないくらい、もうすっかり見晴らしがよくなってしまった。
あんなに木の葉の茂った立派な森林だったものがいつの間にか寒々として、鉛色の池に浮かぶ鴨までがうつむいている。
ポケットに手を入れて肩をすくめて歩いていれば、向こうからくる人もまた肩をすくめてやってくる。
ただ道の脇のところをコロコロと転がるようについてくる真っ白な子犬だけが全身で笑いながら来る。
あんなに小さな生き物が、いかに毛皮を身に着けているとはいえ、果たして寒くはないのだろうか。
通り過ぎざまマフラーに埋もれた首を回して振り返れば、子犬も可愛いおしりを巡らせてこちらをちょっと見た。
タノシイジャナイカッ!
子犬は再び全身でそう言うと、飼い主のあとをコロコロコロコロついていく。
色のない世界の中でその足元からは、無限に8分音符が湧いては乾いた空へ飛ぶようだ。
師走に入ればすぐさま、気温は氷点下を上回らない真冬日になるらしいけれど。
「……それでも本当は、私も冬って嫌いじゃないさ」
子犬が転げてきた道を踏みながら、かすかな音符のあとを遡って私も歩く。