ホラー映画嫌いなんですけど、まるで待ち望んでいたかのように公開直後の新作『ミッドサマー』を見てきました。
『ヘレディタリー/継承』であんなに「気分悪すぎてちょっと楽しい」という名状しがたい気持ちにさせられたアリ・アスター監督最新作だったからです。
そして前回よりさらにパワーアップ、「気分悪すぎてだいぶ楽しい」気分になりました。
『ヘレディタリー/継承』を見た人ならすぐに思い当たるであろうこの監督ならではの、トラウマレベルのゴア描写自体はあり、そのシーンに関しては、ビビりの私はマフラーで顔隠しておりました(ってことはゴアシーンじゃなかった可能性もあるけど、でも絶対嫌なシーンだったはず)。
だってホラー映画嫌いなんだもん。
とはいえ後半からはずっと笑いっぱなしです。
大人としてこういうシーンで笑うのはいかがなものかと思わないでもないものの、悲惨であればあるほどいっそうおかしいのだからもう仕方ない。
不幸すぎて面白い、とか、運命にまったく逆らえない徒手空拳ぶりが笑える、とか感じるあたり、この人の作品を見ると自分の性格の悪さというものにしみじみと直面させられます。
でも「友達も家族も恋人も、食卓の団らんも、共同体って基本的に居心地悪いよねえ」という、どっち方面に向かっても主張しにくい気持ちをエンタメとして共有してくれることに関しては大変な慰めを感じもします。
別に絆が深まることで何かを乗り越えたりしないし、試練によって成長したりもしないし、悪い人が罰せられもしないし、不幸な時はただ不幸なだけでまあどうしようもないから、安心して笑ってればいいんじゃないか。
アリ・アスター監督には、決して幸せになり過ぎたりすることなく、ずっと性格悪い人のためのエンタテイメントを作っていてくれたらうれしいなあ、と思ったのでした。
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人を驚かせるためだけのシーンもないし、画面は明るくて綺麗でかわいいし、ホラー嫌いの人でも怖いところだけ目つぶっちゃえば大丈夫っ。
ビビりの人にとっても『ヘレディタリー/継承』より見やすいです。