2006年ニコラス・ケイジ主演の『ウィッカーマン』を観ました。
先日劇場で見た『ミッドサマー』を、何度思いだしても後味の強い爆笑ホラーだったなあとしみじみ反芻していたところ
「よく似た映画として『ウイッカーマン』というものがある」
という情報を方々で見かけました。
これはアリ・アスター監督自身もインタビューで語っており、
「『ミッドサマー』を撮るにあたって見返したりはしていないけど、舞台設定はよく似てるからまったく意識しないというわけにはいかないよね」
みたいなニュアンスで語っていたと記憶しております。
そういうことならちょっと見てみようか、と思って探してみました。
オリジナルの『ウィッカーマン』は1973年のイギリス映画。
これが知る人ぞ知るカルト作品として有名らしいのですのが、残念なことに鑑賞の手段がありませんでした。
代わりにAmazonビデオで見つけたのが2006年にニコラス・ケイジ主演でリメイクした『ウイッカーマン』です。
なんと5部門もラジー賞にノミネートした珍品だというではないですか。
俄然、気になります。
「カルト映画」「リメイク」「ニコラス・ケイジ」「ラジー賞」って落語の三題噺のお題みたいではあるまいか。
まぜると何ができるのか。
結果、ものすごく面白かったです。
ニコラス・ケイジが出てきた時点で
「なるほどこの人がいかにひどい目に合うかを見る映画だな」
とわかってしまう、サスペンス要素を顔面でつぶす男。
スカートはいた丸腰の女性に拳銃をつきつけて自転車を奪うニコラス・ケイジ。
六歳くらいの女児が走るスピードについていけないニコラス・ケイジ。
クマのぬいぐるみを着て山道で迷子になるニコラス・ケイジ。
よってたかって殴られて、いちいちどこを殴られているのかを大声で解説するニコラス・ケイジ。
とにかく期待されうるニコラス・ケイジ全部入りの一本ということで、本当に素晴らしいと思います。
私はいつのころからか心の中でニコラス・ケイジを「バイオレンスチワワ」という愛称で呼ぶのですが、こんなにチワワ要素を前面に出してくれている作品があるとなれば名付け親としても大変鼻が高い。
さすがラジー賞というのも、目の付け所がなかなか興味深いと再認識いたしました。
ちなみに「バイオレンスチワワ」というファンタスティックな名詞はわたくしめが考えついたものではありませんで、喬太郎師匠のふんどしです。